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非連結子会社への持分法の適用

  • 佐藤篤
  • 2021年9月7日
  • 読了時間: 2分

前回に引き続き持分法のネタです。


私が公認会計士になった頃は、連結上部分時価評価法と全面時価評価法の2つが認められていました。

ところがほとんど部分時価評価法を採用する企業がなかったことから、現在では全面時価評価法のみが認められています(連結会計基準第20項)。

一方で持分法の場合は現在でも部分時価評価法(原則法と簡便法あり)により評価することになっていて、この点連結と持分法で取扱が異なっています。


これがどんな影響を及ぼすかと言うと、非連結子会社へ持分法適用する場合には支配獲得日において全面時価評価法により評価することになり、片や関連会社に持分法適用する場合には部分時価評価法により評価することになるという違いが生じます。


少しややこしいですね。


この違いの具体的な差異内容については「持分法会計に関する実務指針」(会計制度委員会報告第9号平成30年2月16日、以下持分法実務指針)の結論の背景第36-2項にまとめられています。

(以下、引用)

  1. 持分法適用時点までに株式取得が一回しかない場合、部分時価評価法と全面時価評価法は同一の計算結果となる。

  2. 持分法適用開始日までに株式取得が2回以上あり、その間に資産および負債の時価が変動した場合、部分時価評価法の簡便法(過去のデータを入手できず一定時点を基準日とする場合は除く。)と全面時価評価法とは同一の計算結果となるが、これらと部分時価評価法の原則法の計算結果とは異なる。

  3. 追加取得については、時価の変動がある場合、追加取得日の時価で評価する部分時価評価法の原則法と簡便法とは同一の計算結果となるが、これらと支配獲得日の時価で資産を評価する全面時価評価法の計算結果とは異なる。

(引用終わり)


言うまでもなく滅多に発生しない会計処理であり、少々マニアックな論点ではありますが、間違えた場合の影響が小さくないケースもありえますので、企業の連結担当者も会計士も覚えておきたいところです。


尚、連結と持分法の会計処理の違いは、上記の他にも取得関連費用の処理、追加取得と一部売却の処理の二つがあるのですが、これらについては非連結子会社へ持分法を適用する場合、連結子会社の会計処理に準じた取扱又は関連会社と同様の取扱のどちらも認められています(持分法実務指針第3-2項)ので、多少気は楽ですね。

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