遺贈寄付の概要とその注意点
- 佐藤篤
- 2024年6月11日
- 読了時間: 3分
昨日のテレ東の経済番組(モープラFT)で遺贈寄付が取り上げられていました。
私の世代的に相続の話は他人事ではないので、興味深く視聴しました。
そして、遺贈寄付がこれから増えていきそうな気がしたのと同時に、あちらこちらに落とし穴(注意点)があることもわかりましたので、それらをメモ書きとしてまとめました。
遺贈寄付とは
自身の死後、遺言によって遺産の一部または全てを公益法人や学校、自治体などに寄付すること。
生前の寄付と異なり老後の生活資金の心配なく、少額からでも行えるのがメリット。
背景
相続人がいないことで国庫に納められた遺産の額は2022年度で768億円と10年で倍増。今後も増えていく見通し。
身寄りがなく親族とも疎遠になっている高齢者が遺贈寄付を望むケースが増えると見込まれている。
意義
通常の相続の場合、高齢化の進展により、被相続人だけでなく相続人も高齢化しており、高齢者間で資産が循環しているのが実態だが、遺贈寄付することで若い世代に資産を廻すことができる。
相続のタイミングで地方から都市部へ資産が流れてしまうケースが多いが、このような流れを被相続人の意思で変えることができる。
方法
遺贈先を選ぶ
遺言状を作成する。身寄りのない人は遺言執行者を指定しておく必要がある。
遺言状を保管する
相談窓口
日本承継寄付協会が近くの専門家を紹介している。
寄付を受ける先である大手の団体、金融機関、自治体の一部でも相談に乗ってもらえる。
遺言執行者の選任
信頼できる親族でもいいが、一般的には遺言書を作成した際の弁護士や司法書士などの専門家や金融機関を選ぶことが多い。
コスト
金融機関の場合、遺言状の作成と保管料で30万〜100万円以上、弁護士・司法書士で20万〜30万円程度。また、別途公証役場費用が発生する。
自分で遺言書を作成した場合は、法務局への保管料として3,900円。
上記の他、別途執行費用が掛かる。遺産の1%から2%程度が相場。
(注意点1)遺留分
配偶者、子供の法定相続人がいる場合は、遺留分を考慮しておかないと、法定相続人から寄付先へ請求されてしまう可能性がある。
(注意点2)税金
法人への遺贈は相続税の課税対象から外れる。
相続人が寄付した場合、公益・認定NPOなどの法人への10ヶ月以内の寄付は課税対象から外れる。
不動産・株式など値上がりしている場合はみなし譲渡所得税が課されるため、遺言書に「寄付先が税負担」と予め書いておくことでトラブルを回避できる。
注意点3その他
寄付先が現金以外の寄付を受け付けていない場合があり、予めその点を確認しておく。
感想
いろいろ注意点があり、計画的に事を進めないと、何かしらトラブルが発生しそうです。相続自体、そもそもそういう性質のイベントではあるのですが。
そして、何より信頼の置ける執行者を探すのが大変そうだと感じました。この類の話では親族もあてにならない場合が多いですし…
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