賃金が持続的に上がらない可能性、ゼロゼロ融資関係~最近の経済ニュース~
- 佐藤篤
- 2023年7月4日
- 読了時間: 2分
自分の周囲を眺めるだけでも、人手不足の深刻さを実感させられる今日この頃ですが、先日のテレ東の経済ニュース(モーサテ)で興味深い解説がありました。
強い雇用がインフレを持続させるとは必ずしも言えないのではないか、というお話です。
日本の雇用逼迫は深刻化している。
具体的には、飲食店の時短営業や定休日の増加、宿泊業の稼働率を下げた営業、中小・零細企業の後継者不足による廃業等が実際に起きている。
大企業は賃金を上げて対応できる一方、中小企業は売上高が減少し、結果として賃金を持続的に(特に2025年以降)上げられなくなる恐れがある。
日本全体でみれば、潜在成長率を低下させる圧力となりかねない。
次は、個人的に気になっている「ゼロゼロ融資」の影響についての解説です(モープラFT)。
ゼロゼロ融資の実行総額は約42.2兆円で、3年の利払い猶予期間が終了。
返済は二極化する。コロナによって一時的に業況が悪化した企業については、回復が見込まれることにより返済も大きな問題なく実施されると思われるが、一方でコロナに関係なくゼロゼロ融資により救われた企業は、構想的な問題を抱えており、返済は困難と考えられる。
ゾンビ企業(設立10年以上、3年連続で本業の収益より利息等の支払いが多い企業)は2021年度で18万社と、コロナ前より4万社以上増加。
倒産件数はここ4、50年でみると、ゼロゼロ融資の影響で少ない水準に留まっている。但し、2023年になって企業の倒産件数は増加傾向にある。
地銀99行の貸出資金残高は2011年3月時点で200兆円だったのに対し、2023年3月には300兆円を超えた。
地銀発の金融混乱の可能性
日本では取付け騒ぎ等の資金繰り破綻は発生しづらい。
有価証券のリスク管理については相当の注意が必要。
今後金融政策の変更により金利が上昇した時に、融資先に利上げ交渉を行った経験のある行員が存在しないことが潜在的なリスクになり得る。
感想
雇用逼迫の顕在化とゼロゼロ融資の猶予期間の終了がいいタイミングで重なっています。
ゾンビ企業へゼロゼロ融資を実行し、返済開始タイミングで破産・廃業させ、人材を流動化させることで、結果的に構造改革が実現しそうです。
問題は、社長の高級車に化けた返済されないゼロゼロ融資を誰がどう負担するのか、です。
何となく答えは見えていますが。
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