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解散済みの監査法人が監査証明した報告書の訂正が必要となるかもしれない事例~㈱ガーラ~

  • 佐藤篤
  • 2024年9月3日
  • 読了時間: 2分

2024年8月14日に株式会社ガーラ(以下「ガーラ社」)が「2024年12月期半期報告書の提出期限延長に関する承認申請書提出のお知らせ」をリリースしておりました(リンク)。

 

延長の理由としては、特別調査委員会の調査を行っているためとのことで、以下の2点の会計処理が問題になっているようです(以下引用)。

  • 当社の連結子会社であるGala Lab Corp.において2016年3月期から資産計上を開始し、2021年3月期に減損損失228,257千円を計上したソフトウェアの資産計上の妥当性についての疑義

  • Gala Lab Corp.が自社において開発・運営していたスマートフォン向けMMORPGアプリケーションに関し、2021年1月に当該アプリケーションのライセンス及び運営権を227,500千円で取引先に譲渡した上、2022年4月にこれを同社から208,000千円で再取得した一連の取引について、その会計処理が適切ではなかった疑義

(引用終わり)

 

無形資産と売却資産の買戻しということで、典型的な不適切会計のパターンですが、調査中である現段階ではあくまで疑義があるというレベルなので、特別調査委員会の調査報告書を待ちたいと思います。

 

ここまでは不適切会計のよくある(?)ケースなのですが、本件が特殊なのは、会計監査人の異動にあります。


ガーラ社の会計監査人は以下のように推移しています。

  • 2020年3月期、2021年3月期;海南監査法人

  • 2022年3月期;仁智監査法人

  • 2023年3月期以降;監査法人Ks Lab.

随分異動しているなあ、と思いますが、問題は2022年3月期の会計監査人であった仁智監査法人が解散しているという点です。

本件リリースでは以下のように記載されています(以下引用)。

特に2022年3月期は、監査を行っていた仁智監査法人が2022年12月31日に解散しているため、保管されている仁智監査法人の監査調書を閲覧する以外に訂正報告書の監査を行う監査法人Ks Lab.が追加的に監査手続を行う範囲が広がること及び訂正報告書の監査を行う監査法人Ks Lab.が、年間で行っている監査手続を全て行う必要があることから延長期間90日間の監査日数が必要であると判断しております。

(引用終わり)

 

仁智監査法人は、2022年5月31日に金融庁から契約の新規の締結に関する業務の停止1年(令和4年6月1日から令和5年5月31日)というかなり重い処分を受けており、それが引き金になって解散することになったと思われます。

それがこういった形で影響してくるというのは、想像を超えたレベルの話です。

果たして現会計監査人は延長期間90日で監査を終えることができるのでしょうか。

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