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見積開示会計基準をどうするか

  • 佐藤篤
  • 2021年3月30日
  • 読了時間: 2分

3月決算会社の場合、年明けから3月後半の時期まで当年度の決算をどうするかという打ち合わせを会計士との間で行うことが多くなります。その中でも見積開示会計基準をどう取り扱うかというのは当期の決算開示上のトピックの一つです。


この見積開示会計基準の特徴は具体的な内容や記載方法(定量的情報もしくは定性的情報、又はこれらの組み合わせ)について、開示する会社側の判断に任せられている点にあります。

日本の会計基準は何をどの程度どう書くかが詳細に定められているケースが多いため、見積開示会計基準のような会社自らが記載内容を判断しなければならない会計基準に馴染みが薄く、現時点でも明確な開示方針が定まっていない会社もあるかも知れません。特に有価証券報告書の提出義務がない会社はMD&Aでの記載の経験もないため尚更でしょう。

どう書くかという問題は先行開示しているIFRS適用会社の事例を参考にできるとしても、何を書くかというのは完全にその会社の判断に委ねられることになりますので、この点をどう考えるべきかが問題になります。


だいぶ昔の話になりますが、有価証券報告書に事業等のリスクの開示が要求されることになったタイミングがあります。

その時の会社側の反応として、そんな開示したら株主や債権者からどんな反応くるかわからないから何も書きたくない、といったある意味感情的な反応が一部見受けられました。その時に話したのは、将来巨額の赤字決算になったり、最悪倒産という事態になったりした場合、事業等のリスクをきちんと書いておくことでマネジメントサイドのリスクヘッジになるので、記載することは寧ろメリットの方が大きいということでした。

今回の見積開示会計基準の記載についても、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクを開示するという趣旨からすれば、事業等のリスクの開示と同じ考え方が当てはまるでしょう。

一方で見積開示会計基準には、比較的少数の項目を識別することになると明記されています(見積開示会計基準第25項)。趣旨としてはリスクヘッジになるからといって重要性のないものまで何でもかんでも開示することは財務諸表利用者の意思判断を誤らせてしまうからでしょう。重要性の低い見積項目を重要だと思わせてしまうことは重要性のある見積項目を開示しないのと同程度のリスクがあります。


結局のところ、マネジメントサイドのリスクヘッジと見積開示会計基準の要求バランスの間で何を書くかを判断するというありきたりの結論に落ち着くことになりそうです。

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