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行動経済学のビジネスへの応用~「企業会計」2024年10月号~

  • 佐藤篤
  • 2024年10月22日
  • 読了時間: 3分

「企業会計」2024年10月号に「ビジネスシーンで使える行動経済学の応用可能性」(盛本晶子)が掲載されていました。

行動経済学に係る連載の最終回で、それまでのまとめ的内容となっています。

そのまとめをさらにまとめてみました。

 

未来の利益を掴むよりも、目先の損失を避けたい

  • 仕事や勉強は通常、努力(損失)を投入してから、成果(利得)を得るまでにタイムラグがある。このタイムラグにより、人々の損失回避性はより顕著になり、努力を怠る原因になる。

  • 対策として、ゲーミフィケーションがある。

  • ゲーム内では努力(ex.敵を倒す)と報酬(ex.経験値獲得)のタイムラグが0(あるいはわずか)であるため、モチベーションを維持しやすい。

  • ビジネスシーンへの応用例としては、「書類を締め切りよりも早く提出したら、サイコロを振って出た目に応じたポイントをゲット」できるようにする。そのポイントは「社内でお菓子は飲み物の購入に使える」ようにすれば(昇給や昇進と切り離す)、雇用主の某入への心理的負担も低く抑えることができる。

 

報酬は「ちょっとずつ」「何度も」もらいたい

  • トータルで同じ量の利得を得る場合、まとめてもらう(40の利得を1回で受け取ると、効用は17になる)ことと、少しずつ何度ももらう(40の利得を2回に分けて受け取ると、効用は26になる)ことを比べると、少しずつ何度ももらう方がトータルでの満足度が高くなる。

  • トータルで同じような損失が発生する場合、一度に発生する(40の損失を1回で被ると、効用は△34になる)ことと、少しずつ何度も発生する(40の損失を2回に分けて被ると、効用は△54になる)ことを比べると、一度に発生する方がトータルでの満足度が高く(まだマシ)になる。

  • 報酬や褒め言葉は少しずつこまめに与えることで人々の満足度を高めることができ、叱責や注意は一度にまとめて行う方が良いと考えられる。

 

「選ばなかったもの」に誘惑される意志

  • 経済学で一般に用いられている効用理論は全て「選択して経験したもの」に対して満足度を感じるように設計されているが、人々の効用は時に「選ばなかったもの」や「経験していないもの」にも影響される。

  • この点を考慮すると、選択肢は多いよりも少ない方が望ましいことになる。

 

我慢できるものと我慢できないもの

  • 苦手な仕事は、好きな仕事よりも先送りしてしまいがちである。

  • 上司が部下に仕事を割り振る際には、比較的得意な仕事は部下にスケジュール管理を任せても問題ないが、苦手な業務についてはスケジュール管理も上司が行った方が良い。

 

「お手伝い」に報酬は不要

  • 心理学的分析では、外的な介入(追加的な報酬支払や罰)は、1回限りの選択においては効果を持つものの、長期的には逆効果をもたらすと考えられている。

  • 外部の介入が内発的動機を減退させることをモチベーション・クラウディングアウトという。

  • 物的報酬が内発的動機づけを減退させる一方、口語的報酬(褒め言葉や喜ぶ仕草など)は内発的動機付けを促進させる。

 

感想

行動経済学は、ビジネスだけでなく、人生の様々な場面で応用できるので知っておいて損はないのですが、そうは思いながらも忘れがちなので、時々このまとめを読んで記憶への定着を図ろうと目論んで(?)います。


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