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英文開示の現状~「企業会計」2023年3月号~

  • 佐藤篤
  • 2023年4月14日
  • 読了時間: 3分

「企業会計」2023年3月号の特集は「英文開示を企業価値につなげる」でした。

その1記事、『「英文開示の現状」ー新市場区分以降を踏まえて』(内藤啓介)を読んでみました。

以下、そのメモ書きの一部です。


英文開示が求められる背景

  • 東証においては海外投資家が重要な投資主体(株式保有比率で約30%、株式総売買金額で約60%)となっていて、英文開示の重要性が高まっている。

  • 海外投資家からも英文開示を実施する上場企業や、英文開示の対象となる情報の一層の拡大、英文開示のタイミングの改善が期待されている。

  • 東証が2021年8月に公表した英文開示に関する海外投資家へのアンケート調査結果では、57%が「不満」または「やや不満」と回答している。理由としては日本語の開示資料と比べて情報量に差があることや、開示のタイミングが遅いことをあげる意見が多く見られた。


新市場区分と英文開示

  • コーポレートガバナンスコード補充原則3-1②では、特にプライム市場上場会社においては、開示書類のうち必要とされる情報について、英文開示を行うべきとしている。

  • 上述の海外投資家向けアンケートにおいて、英文開示が「必須(Essential)」または「必要(Necessary)」と回答された比率は、決算短信が最も高く、IR説明会資料、適時開示資料、有価証券報告書と続いている。


英文開示の現状調査結果

東証では2019年より上場会社に対して「英文開示実施状況調査」を行っている。以下、2022年12月末時点の回答状況を集計・分析した結果である。

  • 英文開示を実施している上場会社の割合は全市場では60.4%、プライム市場では97.1%。

  • プライム市場上場会社では、決算短信は88.8%、株主総会招集通知は87.4%英文開示を実施している。

TOPIX100の状況

  • 95%超の会社が決算短信、招集通知(通知本文・参考書類)、IR説明会資料、適時開示資料の英文開示を実施している。

  • 英文開示の範囲については、招集通知(通知本文・参考書類)、IR説明会資料は日本語資料の全てを英文開示している会社が9割以上。決算短信、適時開示資料は「抜粋・一部」との回答がそれぞれ14.0%、23.0%となっている。

  • 有価証券報告書については71.0%の会社が英文開示を行っているが、日本語資料の全てについて行っている会社の割合は18.0%にとどまる。

プライム市場の状況

  • 日本語資料の全てを英文開示している割合は決算短信44.5%、招集通知(通知本文・参考書類)54.0%とTOPIX100企業より低い。

  • 英文開示実施率は適時開示資料47.5%、有価証券報告書20.8%と5割未満にとどまる。

開示タイミング

  • プライム市場全体における決算短信、招集通知(通知本文・参考書類)について、日本語資料の開示と同時または同日に英文開示を行う会社の割合は、それぞれ47.9%、60.2%。

  • TOPIX100企業では、決算短信は95.0%、適時開示資料は94.0%が日本語資料の開示と同時または同日に英文開示を行っている。


感想

TOPIX100企業はいいとして、プライム市場上場企業の英文開示の現況がこの程度とは驚きでした。

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