自社株取得の限度額~ソフトバンクグループ株式会社の自社株取得~
- 佐藤篤
- 2021年11月16日
- 読了時間: 2分
先日、武田薬品工業㈱の自社株取得について記事にしましたが、2021年11月8日にソフトバンクグループ株式会社(以下「ソフトバンクG社」)が「自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ」をリリースしておりました。
内容的には総額1兆円を上限とし。2021年11月9日から2022年11月8日までの1年間にわたって普通株式の取得を行うというものです。武田薬品工業㈱のケースは取得総額1,000億円を上限とし、期間は2021年11月2日から翌年4月29日までとされておりますので、ソフトバンクG社の今回の自社株取得は異例の規模と言えそうです。
ここでふと気になったのが、ソフトバンクG社にはどのくらい分配可能額があるのだろうかということです。自己株式の取得は会社法461条で分配可能額までを限度とすることが規定されているからです。
この分配可能額、詳細は会社法本文や他の詳しい参考書籍等でご確認いただきたいのですが、大雑把には、その他資本剰余金の金額とその他利益剰余金の金額の合計から自己株式の帳簿価額を差し引いた金額に近似します。
これをソフトバンクG社の2021年3月期本決算の単体財務諸表で確認してみます。
その他資本剰余金 0
その他利益剰余金 4兆8,673億円
自己株式の帳簿価額 2兆2,900億円
となっておりますので、2021年3月期末時点での分配可能額は2兆5,772億円程度であったと推測されます。
ここから2021年6月の株主総会で決議された配当金382億円と2021年9月末基準での中間配当金377億円を差し引くと、2兆5,013億円となり、2022年3月期決算の当期純利益が仮に0だったとしても、1兆円には十分余裕があると見込まれます。
もちろんソフトバンクG社ほどの会社がそこを見落とすとは最初から思っていませんが、自己株式の取得限度額については弊ブログで触れたことがなかったため、あえてネタにしてみた次第です。
その他
ソフトバンクG社の2022年3月期の第2四半期決算短信のボリュームが既に「短信」とは言えないレベルです(最終ページが91)。
ソフトバンクG社の開示への意識の高さもさることながら、作成に携わった従業員さん、分析担当アナリストさんのご苦労が偲ばれる思いです。
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