結論の背景
- 佐藤篤
- 2021年4月7日
- 読了時間: 2分
更新日:2021年6月22日
収益認識会計基準の勉強をしていた際、有償支給の個別財務諸表上の容認規定で引っかかってしまいました。個別財務諸表上のみ支給品の消滅を認識できるケースがあるのです。
そういった時は基準書の「結論の背景」を読むのですが、この有償支給の個別財務諸表上の容認規定に関しては、何だか読んでも今ひとつ納得感がありません。そこでそのあたりの事情に詳しい方に経緯をお聞きして、係る取扱いになった理由をようやく理解した次第です。
「結論の背景」は文字通り基準がどうしてそのような結論になったのかを項目ごとに解説している基準書の1パートです。
基本的には前述のように規定内容に引っかかりを覚えた時だけ読めば十分で、例えば「一株当たり利益に関する会計基準」にワラントが存在する場合の規定(24項)があります。そこでは自己株式方式が採用されているのですが、なぜ自己株式方式が採用されているのかは当該項目に係る結論の背景(55項)を読まないと理解できない建付けになっています。
一方で、特に規定内容に引っかかりを感じなくても、「結論の背景」を読むことで会計的な考え方を学ぶことができます。
個人的には「金融商品会計に関する実務指針」にある貸付金と借入金の認識に係る結論の背景が記憶に残っています。基準上は26項に「貸付金及び借入金は資金の貸借日にその発生を認識し、その返金日に消滅を認識する」とシンプルに記載されているだけなのですが、それに係る結論の背景は238項~241項にわたってかなり手厚く記載されているのです。
初めてこの結論の背景を見た時は「たかが貸付金・借入金の発生と消滅の認識でなぜこんなに手厚い結論の背景が必要なのだろう」と思ったのですが、結論のシンプルさとそこに至るまでの検討過程は何も関係がない訳でして、手厚くなるのにはそれだけの要因が存在するということを意味しています。
ここにその内容の詳細を記すことはしませんが、リスクの移転や時価評価に係る会計的な考え方がこの4項に凝縮されているような気がします。
ご興味ある方はぜひ一読されてみて下さい。
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