経営者が内容を知らない不適切会計~㈱グッドスピード~
- 佐藤篤
- 2023年10月3日
- 読了時間: 2分
最近、中古車業界が騒がしいですが、2023年9月29日に株式会社グッドスピード(以下「グッドスピード社」)が「調査委員会設置のお知らせ」をリリースしておりました(リンク)。
要因は「公表済みの決算に関して不適切な会計処理がある旨の疑義が生じているとの監査法人からの指摘が2023年9月14日にあ」ったため、とのことです。
で、どのような不適切会計が行われたのかというと、以下のように説明されています。
不適切な会計処理がある旨の疑義の詳細、またその対象期間や金額等の影響については、調査委員会が設置された後、直接、調査委員会へその内容を伝えると監査法人から言われており、現時点で当社は詳細を把握できておりません。
このように経営者が不適切会計の内容を知らないというケースは珍しいですが、ありえない話ではありません。
この点、原則的には、監査基準報告書240「財務諸表監査における不正」(最終改正2022年10月13日)(以下「監基報240」)の39項に以下のように規定されており、経営者は不適切会計の内容を知らされます。
監査人は、不正を識別した場合、又は不正が存在する可能性があることを示す情報を入手した場合、法令により禁止されていない限り、不正の防止及び発見に対する責任を負う者にその責任に関する事項を知らせるため、適切な階層の経営者に適時にこれらの事項についてコミュニケーションを行わなければならない。
一方で監基報240のF39-2項には以下のようにも規定されています。
監査人は、経営者の関与が疑われる不正又は不正の疑い(不正リスク対応基準で規定されている不正による重要な虚偽表示の疑義があると判断した場合を含む。)を発見した場合には、第40項に従って監査役等とコミュニケーションを行い、協議の上、経営者に問題点の是正等適切な措置を求めなければならない。
以上から今回のグッドスピード社の不適切会計は、
法令によって経営者へ知らせることが禁止されている
経営者の関与が疑われるため、監査役等と協議した結果、経営者には知らせないことにした
のいずれかに該当すると推察されます。
答え合わせ?の意味もあり、引き続き当案件はフォローしていこうと思っています。
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