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監査法人の見落としによる決算発表延期~ZETA株式会社~

  • 佐藤篤
  • 2月11日
  • 読了時間: 2分

2025年2月4日にZETA株式会社(以下「ZETA社」)が「抱合せ株式消滅差益計上の取消し、及び、過年度の決算の訂正の見込み、並びに2024年12月期決算発表延期のお知らせ」をリリースしておりました(リンク)。

 

この表題だけみた時は、ZETA社の連結子会社の過去の決算が間違っていて、且つZETA社の個別財務諸表上に計上されていた抱合せ株式消滅差益の売却実現性に疑義があって取消す羽目にでもなったのか位に思ったのですが、実際は全く違っていました。

 

まずは抱合せ株式消滅差益計上の取消しについてですが、以下のような経緯のようです。

  • 2024年11⽉27⽇に連結決算において抱合せ株式消滅差益131百万円を特別利益として計上する⾒込みであると開⽰

  • 2025年1⽉29⽇に当該特別利益については連結処理においては消去されるものと宝印刷㈱より指摘を受け、改めて監査法⼈に確認をしたところ、適時開⽰の内容について確認が不⼗分であったとの回答があり、連結決算においては消去が必要であると判断

 

次に過年度の決算の訂正については、以下のような経緯と内容のようです。

  • 2025年1⽉31⽇に監査法⼈より、過年度の決算に関して検討が⼗分でなかった点があり、改めて会計処理を⾒直し、併せて過年度の決算について遡及して訂正を⾏いたいという申し⼊れがあった

  • 具体的には、ライセンス取引について、収益認識に関する会計基準で定める使⽤権としてクライアントがライセンスを使⽤開始となった時点、すなわち証憑等のライセンスの利⽤開始⽇付をもって売上として是認されていたもののうち、プロジェクトが⻑期に亘る等の理由により⼊⾦サイトが⻑期であるものについて、売上への計上のタイミングを⾒直すという内容

 

開示チェックについては、会計監査の現場でも宝印刷㈱と㈱プロネクサスのチェックに助けられることが少なくないのですが、会計処理の誤りの指摘を受けるというのは、私は経験がないし、人から聞いたこともありません。

今回のZETA社の事案は、一目見て会計処理誤りに気付けるからこそ起こった訳ですが、「こういうこともあるのだなあ」と思うと同時に、「えっ、そこ?」という感覚が拭えません。

 

加えての過年度遡及修正もキツイですし、結果としてZETA社は決算発表を延期せざるを得ず、不正会計をした訳でもないのに第1第3四半期決算短信の要レビュー会社になる可能性が高く、何とも気の毒な事案だと感じます。

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