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異彩を放っている経営成績の説明~株式会社テンポスホールディングス~

  • 佐藤篤
  • 2022年3月15日
  • 読了時間: 2分

株式会社テンポスホールディングス(以下「テンポスHD社」)の経営成績に関する説明が異彩を放っているという噂を聞き、早速2022年4月期第3四半期の決算短信を見てみました。


経営成績に関する説明の冒頭部分に関しては「成功はまだまだ」「この狙いは間違っていない」といった、通常はあまり使われない言葉の使用は見られるものの、そこまで違和感のある記載ではありません。


ところが事業部門別の概況の説明になると様相は一変します。


例えば店頭販売中古厨房機器販売の株式会社テンポスバスターズに関する説明は「また(中略)トレーニングを開始いたしましたが、トレーニングの習熟度たるや未だ道遠し!まだまだ頑張らないと!」との決意表明で締めくくられています。


また、情報・サービス事業の概況説明においては「(前略)情報とサービス部門は今期予想に対して計画倒れとなっており、思うようにいきません。トホホ。」と失望を素直に記載しております。


さらにPOSシステム及びASP販売の株式会社テンポス情報館の概況説明では「営業利益は(中略)、これも計画の半分程度とろくなものではありません。」と己への厳しさ(?)を包み隠さず表しています。


極めつけは飲食事業「ステーキのあさくま」店舗に関する記載なのですが、このご時世大丈夫なのかと思われる記載で締めくくられております。

ここに書くのは憚られますので、気になる方は直接テンポスHD社の決算短信をご確認ください。


ここまで決算短信をみてきて、流石に四半期報告書ではこれらの超個性的な記載は踏襲していないだろうと思ったのですが、通常、決算短信と四半期報告書で経営成績の説明文を変更することは稀なので、もしかしてと思い、EDINETでテンポスHD社の2022年4月期第3四半期の四半期報告書を確認してみました。

結果は決算短信の記載そのまま四半期報告書にも掲載されておりました。

おそらく法定決算書に「トホホ。」と記載されたのは、今回のテンポスHD社の四半期報告書が初めてではないかと思料します。


ここで「監査法人、よくOK出したな」との意見もあるかと思いますが、四半期報告書における監査法人・公認会計士の責任範囲は第4【経理の状況】以降に限られますので、我々は被監査会社が作成した経営成績の説明文に口出しする権利はありません。

もちろん、「本当にこの記載で行くのですか?」程度のやりとりはあったとは思いますが。

ちなみに第4【経理の状況】以降には個性的な記載はありませんでした。


それにしても、一風変わった話題の作り方だなあ、と思うと同時に、低コストで会社の知名度アップさせたなあ、と妙に感心させられた決算書でもありました。

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