特異な会計不正事例~新日本空調㈱~
- 佐藤篤
- 2023年2月17日
- 読了時間: 2分
更新日:2023年2月27日
先日、㈱サンリオの不正会計について取り上げましたが(リンク)、今回は新日本空調株式会社(以下「新日本空調社」)です。
新日本空調社は2023年2月13日に「2023年3月期第3四半期決算発表の延期に関するお知らせ」をリリースしておりました。
内容的には、新日本空調社の従業員1名による協力会社への架空発注で、影響額は25百万円とのことです。
具体的な手口が以下の様に記載されています。
行為者は架空発注に係る見積書を作成し、協力会社の事務担当者にこれを当社に提出するよう指示を行い当社(注;新日本空調社)に提出させた。
提出を受けた当該見積書に基づき、電子購買システム(EDI)上で発注処理を行った。
行為者はEDI上で請求処理を行うよう当該協力会社の事務担当者に指示を行った。
これを2021年1月から2022年10月までの期間に複数回行い、合計25百万円の架空発注に係る支払いを協力会社に行った。
また、関与者については以下の様に記載されています。
不正を見抜けず発注業務を行った3名の職員、行為者の申請を承認した上長である課長、当社に対する提出書類の発行を承認した協力会社社長の5名、協力者は行為者から指示を受け業務を行っていた協力会社事務担当者の1名のみであることが現時点で判明しております。
で、本件の特異な点は不正行為を行った動機にありまして、それについて以下の様に記載されています。
本事案の動機は、工事現場において行為者である現場所長と作業員という関係を長時間継続していた協力会社からの業務委託者3名に対し、長年の労をねぎらうために退職金を支払いたいという願望によるものです。
架空発注不正の場合、ほぼ例外なく発注先と受注先でグルになっていて、本件も例外ではないと思われますが、動機が動機なだけに何だか悪い事をしたという印象がぼやけてしまいます。
とはいえ、事実として架空発注が出来てしまったことは、経営管理上問題あるのは間違いなく、その点有耶無耶にしなかった新日本空調社の対応は良かったと思います。
手口的にはありきたりな不正行為ですが、動機的にはなかなかお目にかかれない事例でありました。
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