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特徴的な財政状態計算書~中外製薬株式会社2021年12月期第2四半期決算短信

  • 佐藤篤
  • 2021年7月27日
  • 読了時間: 2分

暑い日々が続きますが、2022年3月期第1四半期を中心とした決算発表のシーズンとなってきました。

そんなわけで当ブログのネタ探し含め、Covid-19治療薬のリリースで話題となった中外製薬株式会社2021年12月期第2四半期決算短信(2021年7月27日発表)を見てみました。

損益の状況や今後の見通しについては、経済紙やアナリストレポート等で多くの解説がなされると思いますので、ここでは要約四半期連結財政状態計算書をみて特徴的だと感じた点についてだけ触れたいと思います。


1.まさかの固定性配列法

要約四半期連結財政状態計算書をみて驚いたのは、固定性配列法を採用していることでした。日本では電気・ガス供給事業の貸借対照表位でしかお目にかかれない標記法です。

流動性の低い資産から順に表示されるため、非流動資産が流動資産より上に表示されます。さらに流動資産の内訳は棚卸資産が一番上に表示され、次が営業債権、有価証券、現金及び現金同等物と続きます。

これは恐らく中外製薬㈱の親会社であるエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社の財政状態計算書に合わせて固定性配列法を採用しているのだろうと思い、ロシュ社の財政状態計算書をみてみたところ、予想通り固定性配列法でした。

ちなみに同業他社では武田薬品工業㈱も固定性配列法、第一三共㈱は流動性配列法でした。製薬業界では固定性配列法も決して珍しくはないようです。


2.流動資産に有価証券あり

2021年6月末で2,040億円の残高があり、2020年12月末残高1,662億円から378億円増加しています。その中身を確認すべく2020年12月期の有価証券報告書をみてみたのですが、金銭信託、譲渡性預金、コマーシャルペーパー等のようです。

一瞬トレーディング部門が社内にあって、株式等の短期売買をしているのかと思ったのですが、そんな訳ないですね。

キャッシュリッチな会社ではこのような短期の比較的低リスクな運用をすることが多いです。今回の四半期決算と同時に発表された新規設備投資555億円も十分自己資金で賄えそうです。


3.純資産の内訳がBSにない

連結財政状態計算書には純資産合計額が表示されているのみで、その内訳を確認するには要約四半期連結持分変動計算書をみないとわからない構成になっています。

これにも一瞬面喰いました。


以上、いかにも会計士的な視点の記事になってしまいましたが、中外製薬株式会社2021年12月期第2四半期決算短信に記載された要約四半期連結財政状態計算書の感想でした。


冒頭に記載した通り、これからしばらく決算発表が続きますので、引き続きネタ探しにいろいろみていきたいと思っています。



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