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減損損失と売却益~「会計監査ジャーナル」2022年2月号~

  • 佐藤篤
  • 2022年1月18日
  • 読了時間: 2分

「会計監査ジャーナル」2022年2月号の会計相談Q&Aという連載記事(以下「当該記事」)があるのですが、今回は以下のような設問でした。


減損損失計上後、同一年度内に当該固定資産を売却したことにより売却益が生じた場合の取り扱い


当該記事を読む前に、この設問だけを見て以下のように予想をたてました。


論点

当該売却益を減損損失計上額の修正とするか、減損損失計上額は修正せず売却益と両建てにするか。


私の答え

当該売却益を減損損失計上額の修正とする。


実際の答え

損損失計上額は修正せず売却益と両建てにする。


論点の把握までは良かったのですが、結論は完全に間違ってしまいました。


当該記事によると、売却益を減損損失計上額の修正とせず、両建てにする論拠は以下の通りのようです。

  • 四半期会計基準及び四半期適用指針において、減損の兆候の把握以外に固定資産の減損処理に関して簡便的な取り扱いは定められていない。棚卸資産の簿価切り下げに係る四半期での洗替法と同様の方法も認められていない。

  • 減損会計基準三2において、減損損失の戻入れは行わないとされている。

  • 減損適用指針第134項において、期末のみならず、期中において減損処理が行われる場合があるとされている。

  • 期中に減損処理を行った資産に係る取扱いについては、減損適用指針第63項において、中間会計期間において減損処理を行った場合には、年度決算までに資産又は資産グループに新たな減損の兆候があり追加的に減損損失を認識すべきであると判定される場合を除き、年度決算において、中間会計期間を含む事業年度全体を対象として改めて会計処理を行わないとされている。

  • 総額主義の原則(企業会計原則第二一B)


直感で判断すると、こういうことがよく起こります。きちんと基準に当たって判断しないといけませんね。


余談ですが、減損損失の計上と売却益の計上が別年度になってしまうと、売却益の額次第では、過年度の減損損失が利益調整だったのではないかとの疑念が掛けられ、被監査クライアントとその会計監査人共に難しい状況に陥ることがあります。

多めに減損損失計上しておく分には、少ないよりいいのでは、と言われることもあり、その気持ちも分かるのですが、会計監査人もその点はしっかり検証しますし、過年度決算の訂正という事態にもなりかねませんので、減損損失は多すぎず少なすぎず、適切な額で計上していただきたいと思います。


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