決算発表の詳細性と速報性~日本電産㈱とファナック㈱の2022年3月期第3四半期決算短信を見て~
- 佐藤篤
- 2022年1月28日
- 読了時間: 2分
2022年3月期第3四半期を主とする決算発表シーズンが始まりました。
皮切りは1月26日の日本電産株式会社(以下「日本電産社」)とファナック株式会社(以下「ファナック社」)です。両社とも連結総資産が1兆円を超える大企業であるにも関わらず、随分スピーディーな決算発表だなあ、と感心してしまいます。
そんな訳で両社の2022年3月期第3四半期決算短信を簡単に眺めてみたのですが、開示内容は対照的でありました。
日本電産社は経営成績の説明において。製品グループ別に売上高と営業利益を前年同期累計期間比較および前会計期間比較(同年の7~9月期と10~12月期の比較)で詳しく説明しています。この前会計期間比較、私はあまりお目にかかったことがなく、新鮮に感じました。
連結財務諸表本表は要約四半期連結財政状態計算書、要約四半期連結損益計算書及び要約四半期連結包括利益計算書、要約四半期連結持分変動計算書、要約四半期連結キャッシュフロー計算書とフルセットの開示です。
一方ファナック社の経営成績の説明は、部門別の売上高の前年同期比較みで、損益の開示と分析はありません。
連結財務諸表本表も四半期連結貸借対象表と四半期連結損益計算書及び四半期連結包括利益計算書のみの開示とシンプルな内容です。
日本電産社は詳細性を犠牲にせずに速報性と両立させており、さすがとしか言いようがありません。
それに対してファナック社は速報性を重視し、詳細な情報は別途開示するという方針なのでしょう。それがダメというわけではなく、この規模の企業でこのスピードで決算発表できる事自体十分凄いことです。
また、ファナック社のような価格決定力が相対的に高い会社は、部門別売上高を開示しておけば、その業界に詳しい人や担当アナリスト等であれば部門別利益の水準も凡そ推測が可能であり、そうであれば速報性を重視する方が決算短信利用者に資するとの経営判断だと思われます。
そういった開示対応が可能な企業はそうそうありません。
日本電産社とファナック社、それぞれに違った凄さを感じさせる決算短信でありました。
Comments