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横領の長期化と属人化~グローリー株式会社の事例~

  • 佐藤篤
  • 2022年3月18日
  • 読了時間: 2分

グローリー株式会社(以下「グローリー社」)が2022年3月14日に「2022年3月期第3四半期四半期報告書及び決算短信の訂正ならびに過年度の有価証券報告書等、決算短信等、内部統制報告書の訂正に関するお知らせ」(以下「当該リリース」)をリリースしております。



事態の概要


当該リリースに至った原因は連結子会社における元従業員の金銭横領で、2009年頃から10年以上に亘って、約21億円以上の被害があったとのことです。


これを受けて2020年3月期と2021年3月期の有価証券報告書・四半期報告書が訂正されております。


併せて2020年3月期と2021年3月期の内部統制報告書も訂正しており、従来有効としていた結論を有効ではないという結論に改めています。

その原因を、当該リリースでは以下のように説明しています。

(以下引用)

本件の直接的な原因は、当該子会社の総務部門における長期にわたる経理業務の属人化・権限の集中化、現金の集金・入金に係る業務フローにおける欠陥、振込送金業務における経理規程の不遵守、所属部署内における監督・牽制不足、内部統制一般に係るルール化及びその浸透に係る不十分さであり、また、そのような事態が生じた背景的な原因として、当該子会社の総務部門が所管する職務に見合う人材の不足、当社による子会社与信判断時における油断、監査業務(監査役監査/グループ内部監査)における問題意識の希薄さ等が挙げられます。

(引用終わり)



感想


内部統制が存在していなかったと言っても差支えない位、様々な原因が記載されています。


中でも横領が長期に及んだ根本原因は属人化の問題と思われます。

中小企業に限らず、大企業でも、例えば地方の小規模な工場などでは、総務経理部門のメンバーが10年以上固定されているようなこともあります。本来現金預金を取り扱う部門では2~3年で人員を異動させるのが望ましいのですが。

定期異動が難しい中小企業では、社長が全ての現金預金取引をチェックしている事も珍しくありません。


今回の事件の当事者であるグローリー社の子会社は、大企業のように定期異動が出来る程の人的余裕はなく、且つ社長なり担当部長なりが現金預金取引を全件チェック出来る程の小規模企業でもなく、まさに横領向きな企業規模だったのかも知れませんが、だからと言って管理が甘かったという事実はひっくり返せません。


尚、具体的な横領の手口等詳しい内容を知りたい方は、同じ日付で「社内調査委員会による調査結果公表に関するお知らせ」がグローリー社のホームページにアップされておりますので、そちらをご覧下さい。

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