株主総会決議を回避?~「企業会計」2024年2月号~
- 佐藤篤
- 2024年3月5日
- 読了時間: 2分
少し前にマネックス証券がNTTドコモの傘下に入るというニュースを目にしました。
そのニュース自体ほとんど気にしていなかったのですが、そのスキームが地味に面白いようです。
「企業会計」2024年2月号のOUTSIDE『株主総会抜きの「身売り」』(前田昌孝)にその辺りの解説がありました。
当該スキームの概要
マネックス証券が完全親会社で中間持ち株会社でもあるマネックスホールディングスを設立し、グループ全体を統括するマネックスグループ保有のマネックス証券株を移転する。
マネックスグループは保有するマネックスホールディングスの株式の48%を約466億円でNTTドコモに売却する。
同日付でマネックスホールディングスはドコモマネックスホールディングスに社名を変更する。
NTTドコモは同日付でドコモマネックスホールディングスが実施する第三者割当増資に応じ約20億円を払い込む。この結果、ドコモマネックスホールディングスはマネックスグループが50.95%、NTTドコモが49.05%出資する中間持ち株会社となる。
マネックスグループとNTTドコモとは株主間契約を締結し、ドコモマネックスホールディングスとマネックス証券の取締役の過半を指名する権利をNTTドコモに渡す。
マネックス証券は実質支配力基準によりNTTドコモの連結子会社となる一方、マネックスグループは持分法適用するだけとなる。
上記スキームを採用した理由の推測
会社法467条第1項2号の2によると、譲渡する子会社株式の簿価が親会社の総資産の5分の1を超え、かつ、譲渡後に保有する子会社の議決権が議決権総数の過半とならない時は、譲渡契約の効力が発生するまでに、株主総会の決議によって承認を得なければならない。
マネックスグループは上場会社であり、株主総会の開催を避けるため、出資比率51%維持したのではないかと推測される。
感想
上記の推測が正しいとすれば中々リスクが高い気もしますが、株主総会決議を避けたい、という気持ちもわからなくはありません。
当然法的チェックも抜かりなく行われているでしょうし、このようなスキームを使えば株主総会決議を回避できる余地がある、というのは一つ勉強になりました。
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