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最近の不適切会計事例1件と民事再生手続開始申立て事例1件~㈱ACCESSと日本電解㈱~

  • 佐藤篤
  • 2024年12月3日
  • 読了時間: 3分

2024年11月29日に株式会社ACSESSが「特別調査委員会設置及び2025年1月期第3四半期決算発表の延期並びに2025年1月期通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」をリリースされておりました。

 

当該リリースによりますと、

2024年12月16日を予定しておりました2025年1月期第3四半期に係る決算発表を延期

とのことです。

 

要因については、以下のように記載されています。

2024年9月13日付「貸倒引当金の計上及び2025年1月期中間連結会計期間の業績予想値と実績値との差異に関するお知らせ」にてお知らせしたネットワーク事業における新興顧客を中心として増加した売掛金の一部の回収期間の長期化の原因等を調査する過程において、米国子会社における一部取引について、不適切な売上計上の疑義が生じた

 

上記にある貸倒引当金に係るリリースには以下のような説明があります。

一部の売掛金について回収可能性を保守的に見積もり、当第2四半期連結会計期間(2024年5月1日~2024年7月31日)において、貸倒引当金331百万円を販売費及び一般管理費として計上することといたしました。


端的に言うと、売掛金の評価の問題だけではなく、実在性の問題が判明したということのようです。

この2つ、評価の問題と実在性の問題をごちゃ混ぜにして「貸倒引当金計上しておけばOK」と考えてしまう人が結構いるのですが、そこは全く別の話ですので、注意しておきたいところです。

 


 

2024年11月27日に日本電解株式会社(以下「日本電解社」)が「民事再生手続開始の申立て並びに海外子会社の解散及び清算に関するお知らせ」をリリースしておりました。

 

経緯としては、以下の通りです。

  • 米国子会社の業績悪化が常態化し、早期の回復見込みもない。

  • 日本電解社の負担において当該米国子会社のカムデン工場の製造設備改造や米国におけるオーガスタ工場製箔設備に係る投資を進めたこともあり、日本電解社のキャッシュフローも徐々に悪化、金融機関から行った約120億円の借入れにつき、返済が見通せない

  • 2024年5月頃からスポンサー探索を行っていたが、具体的な支援意向を示す先は見つからず

 

要は投資に失敗したのが民事再生手続開始の申立てに至った原因で、それ自体は何ら珍しいことではないのですが、問題は日本電解社が上場から3年半弱しか経過していない会社だということです。

 

似たような状況に陥った会社では、MSワラントの発行等で粘ることが多いのですが、そのようなこともなく、かなりあっさりバンザイしちゃったなという印象です。

 

一つ考えられるのは、メインの金融機関からの借入金はほとんど保全されていて、メイン以外の金融機関と既存株主の犠牲だけで済むという可能性です。

業績不振となった米国子会社は清算されるようですし、そうであれば早期に不動産を売却して融資の返済に充てることが可能であり、結果として今後の支援も期待できます。

 

まあ、既存株主にとっては堪ったものではありませんが。

 

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