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最近の不適切会計事例~グレイステクノロジー㈱~

  • 佐藤篤
  • 2022年1月21日
  • 読了時間: 2分

グレイステクノロジー株式会社が2022年1月14日に「特別調査委員会による調査の継続、2022年3月期第2四半期報告書の提出遅延および当社株式の監理銘柄(確認中)指定の見込みに関するお知らせ」をリリースしておりました。



経緯

元々2022年1月17日までの延長承認を受けており、その前提として2022年1月12日頃に特別調査委員会から調査報告書を受領する予定であったところ、その調査が継続中であるため、延長承認期日までに2022年3月期第2四半期報告書を提出できない見込となり、今回のリリースとなったようです。



不正会計の内容

特別調査委員会からの、調査の途中段階での報告によれば、

  • 架空売上を計上し、その架空売上に係る売掛金を当社役職員の自己資金を用いて仮想入金等していた

  • 売上の前倒し計上をしていた

  • 利益操作目的で架空外注費を計上していた

  • 上記の実現手段として偽装工作している状況が多数発見された

とのことです。


また、2016年3月期から2021年3月期までの売上高と架空売上高の暫定値を開示しているのですが、2021年3月期に至っては1,812百万円の売上高の内、994百万円が架空売上であったとのことで、架空売上の割合は約55%にも及びます。



感想

何ともすごいボリュームの不正です。偽装工作している状況が発見されている以上、不正と言って差し支えなさそうです。



架空外注費計上の目的

ところで、何故架空売上を計上しているのに、わざわざ利益が減少する架空外注費も計上しているのかというと、売上高だけ架空計上すると利益率が異常に高くなって直ぐに不正がバレてしまうからです。

架空原価も併せて計上して、利益率を高すぎず低すぎずの水準に調整(?)する訳です。


そのため、原価の検証がきっかけとなって架空売上が判明するケースもあります。

架空原価の計上は未払計上による場合が多いのですが、

未払債務の検証→実在性に疑義→関連する売上の詳細検証→架空売上検出

の流れで見つかってしまうのです。


未払債務の検証では、既に計上されている債務よりも、計上されるべき債務が漏れなく計上されているかに注意が向きがちなのですが、既に計上されている債務の検証も、特に架空売上が疑われる場合には、同じくらい重要になってくるということです。

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