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書評「2030年すべてが「加速」する世界に備えよ」

  • 佐藤篤
  • 2021年7月13日
  • 読了時間: 3分

ここ何年か、たまにオンラインの読書会に参加しております。

この読書会自体、様々な分野に関する本の読書会を結構な頻度で開催しているのですが、今回は前から興味のあった「2030年すべてが「加速」する世界に備えよ」(ピーター・ディアマンテス&スティーブン・コトラー著)が課題本でしたので、久々に参加してみました。


この本、おおまかに言うと、AIやバイオテクノロジー、ナノテクノロジーといった様々な最先端技術が結合し、今まで不可能と思われてきたことが可能になる世界が想像以上に近い将来訪れるだろうということを具体的な事例を挙げて説明する内容となっています。


本書で挙げられている具体的な事例は以下のようなものです。

  • ロケット技術を国家間移動に転用してLAからシドニーまで30分で移動できるようにする。

  • 3Dプリンターを用いることで家が5000ドルで1軒建つ(これは既に中国で実施されています)。

  • 培養肉技術で屠殺なしにステーキを食べられるようになる。

これらはほんの一部であり、買い物から医療まで様々な近未来予測が列挙されています。


このような生活への直接的な影響に留まらず、培養肉が安全・安価に供給されるようになれば畜産業が衰退することで連鎖的に飼料穀物栽培農家にも影響が及んだり、自動運転車の普及により交通事故が無くなることで自動車保険が不要になったり、間接的にも様々な領域に影響を与えることが予想され、読書会でも参加メンバーが属する業界の将来について話題になりました。


では、私の属する会計士業界はどうかということで、以下のような話をしました。


数年前、AIが騒がれ始めた時に影響を受ける業界として会計士業界が比較的大きく取り上げられたことがあります。AI技術によって残高確認や取引証憑のチェックを随時且つ迅速に実施できるようになれば実質的に精査が可能になり、結果として業務プロセスの内部統制評価も不要になって、確かに現在ほどのマンパワーは必要ではなくなりそうです。

会計上の見積チェックや開示チェック辺りは暫く人の手によることになりそうですが、それもAIによる自動化が可能になるかもしれません。


それでは会計士は不要になるかというと、個人的にはそうは思っていません。

何故ならAIは責任をとることは出来ないからです。


結局のところ、会計士の役割というのは監査報告書にサインすることで監査対象会社の財務諸表に保証を与えることであり。最終的にはどこまでリスクテイクする覚悟があるかという胆力の勝負になるのですが、さすがにAIといえども、そこまでは代替できないでしょう。

もちろん今の世界では想像も出来ないような新たな財務諸表への保証の仕組みが確立された場合はその限りではありませんが。


話が本の内容紹介から脱線してしまいましたが、私としては特におすすめする本ではありません。

現在進行している技術革新の大まかな方向性を知りたいという人は読む価値かあるかもしれませんが、その場合でもYoutubeにアップされているまとめ動画やネットの書評を確認した上で読んでみたいと思った場合だけ読めば十分かと思います。

何せ400ページ近いボリュームがあって読了には結構な時間がかかりますし、世界は複雑過ぎて、未来予測本は概してあてになりませんので。

そういった意味では私の会計士業界予測も全くあてになりませんが(笑)


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