新リース基準案適用のために必要とされる情報~「企業会計」2023年9月号~
- 佐藤篤
- 2023年10月17日
- 読了時間: 3分
先日のエントリーで、「企業会計」2023年9月号に掲載されていた新リース基準案適用による貸借対照表への影響を取り上げましたが、今回は同誌同号から「情報の集め方・システム対応」(藤原拓)を取り上げます。
尚、当該記事では、情報の集め方、管理方法やシステムを導入する場合の対応方法についても触れられていますが、それらは個別性が強い内容であるため、今回のまとめエントリーには含めませんでした。
また、当該記事では、「あくまで新リース基準案等を適用するにあたって一般的に必要と考えられる情報を記載しているものであり、網羅的な記載にはなっていない点に留意すべき」旨強調されていたことも申し添えておきます。
リースに該当するか否かの判断のための情報
新リース基準案等においては、契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合、当該契約はリースを含むと定めることが提案されている。
賃貸借契約を中心にリースとして扱うことが多かった旧リース基準等においてはリースとして会計処理が求められなかった契約や取引についても、リースとして取り扱う必要が出てくる可能性がある。
以下の具体例のような取引は、新リース基準案等ではリースと判断される可能性がある。
自社工場に隣接する他社工場からの材料購入
専用サーバーによるデータ保管サービス
長期間の輸送契約
商業施設における特定の区画使用契約
契約における対価の配分に係る情報
借手は、原則として、契約対価をそれぞれの独立価格の比で「リースを構成する部分」と「リースを構成しない部分」に配分した上で、リースを構成する部分を新リース基準案等により会計処理し、リースを構成しない部分を、該当する他の会計基準等に従って会計処理する必要があると提案されている。よって、契約対価を構成するそれぞれの内訳について、単独で契約した場合の独立価格とその内容に係る情報が必要となる。
リース期間の決定に係る情報
借手のリース期間は、借手の解約不能期間に、行使することが合理的に確実である延長オプション期間及び行使しないことが合理的に確実である解約オプション期間の両方の期間を加えたものとすることが提案されている。よって、解約不能期間や延長・解約オプションについて契約上でどのように定められているかの情報が必要となる。
リース料に係る情報
以下のような情報が必要となる。
リース料の金額(変動性がある場合は、変動条件も含む)及び支払条件
残価保証の内容
購入オプションの内容及び行使価額
解約違約金の金額
その他
割引率、資産を使用するために支払う付随費用、当該リース契約に関連する原状回復義務の内容
財務諸表注記のために必要となる情報
新リース基準等では注記事項が増加しており、別途集めることが必要となる情報がある。
短期リースについて使用権資産を計上していない場合に、当該短期リースに係る費用が含まれる科目と発生額
リース負債に含めていない変動リース料に係る費用が含まれる科目と発生額
リースに係るキャッシュ・アウト・フローの合計額
借手が潜在的に晒されている将来キャッシュ・アウト・フローのうちリース負債の測定に反映されていないもの(例えば、借手の変動リース料、延長オプション及び解約オプション、残価保証、契約しているがまだ開始していないリース取引)
借手がリースにより課されている制限または特約
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