政策保有株式の意義と課題~「企業会計」2025年2月号~
- 佐藤篤
- 3月7日
- 読了時間: 2分
「企業会計」2025年2月号の時事解説「政策保有株式の意義と課題」(葭田英人)を読んでみました。
以下、一部メモ書きです。
政策保有株式の経緯
政策保有株式の株式持合い形態は、戦前の財閥によって導入された。
第二次世界対戦後、財閥は解体され、独占禁止法の施行により企業の株式保有は禁止され、株式持合いは一旦解消。
その後、独占禁止法が改正され株式の保有制限が緩和されると、株式持合いは復活。
1950年代後半には、銀行を中心とする株式持合いが進んだ。
1960年代に外国資本の自由化が始まると、外国企業による敵対的買収の防衛の観点から、株式持合いが進展した。
1980年代のバブル期には、銀行・グループ企業間での株式持合いが行われるようになり、高株価の維持、金融機関との関係強化、取引の円滑化のための役割が強まった。
1990年代のバブル崩壊後、株価が大きく下落すると政策保有株式は財務体質を悪化させ、資金繰り悪化の要因となった。その結果、保有株式を放出する動きが強まり、株式持合いを見直す企業が増加した。
2000年代に入りアクティビストが持合い株式の売却要求を強める中で、2002年1月に、銀行の持合い株式を解消するための受け皿機構として、政府主導で銀行から政策保有株式を買い取る「銀行等保有株式取得機構」が設立された。
政策保有株式のメリット
経営の安定化
取引関係の強化
敵対的企業買収の防衛
政策保有株式のデメリット
企業ガバナンスの形骸化
資本効率の悪化
政策保有株式の課題
政策保有株式の売却による縮減ではなく、純投資目的へ変更する行為が、特に地方銀行で目立っている。
金融庁は、上場企業に対し、政策保有株式の保有目的を純投資目的に変更する場合には、その変更理由や将来の株式売却の応諾を得ているかを開示するよう義務付ける方針。2025年春までに改正内閣府令を交付し、同年3月期の有価証券報告書から適用する予定。
政策保有目的を純投資目的と偽ると、金融商品取引法の有価証券報告書の虚偽記載に該当し、刑事罰や課徴金の対象となる可能性がある(金商法172の4・197①一・197条の2六・207①)
感想
まずは、経緯が面白かったです。
我が国の持合い好きは戦前からの伝統だったようです。
シャンシャン総会も当たり前でしたし、その頃からすれば、今は随分ましになったと感じます。
また、純投資に係る開示の改正は本年3月期の有価証券報告書から適用されますので、留意が必要です。
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