投資の減損と配当
- 佐藤篤
- 2020年10月2日
- 読了時間: 2分
更新日:2022年3月31日
2020年9月30日、ネットで日本郵政㈱がゆうちょ銀行株式の減損処理を行うというニュースを見ました。その金額は3兆円!先日のNTTによるドコモ株式TOBの4兆円と言い、桁違いに大きい金額のニュースが続いていてビックリさせられます。
ところで、そのニュースの中にこんな記載がありました。
グループの連結決算に影響しないが、日本郵政の配当に影響が出る可能性がある。(引用終わり)
連結決算導入以来、単体決算の重要性は相対的に低下してきました。
以前は開示が求められていた項目も、連結財務諸表上の開示がなされていれば省略可能との取り扱いも多くなっています。
特に四半期決算においては、単体決算の開示が要求されないため、単体決算は連結決算作成のための1プロセスと言う印象を抱きかねません。
しかし、単体決算には一つ重要な役割があって、それはこのニュースの記載にある通り、配当原資となる分配可能額の算定には未だ単体決算を用いているケースが多いということです。
分配可能額を超えて配当してしまった場合は明確に会社法違反であり、経営者及び会計監査人の責任が問われることに争いはありません。
そのため、四半期決算上はともかくとして、年度末本決算においては会計監査人による単体決算の監査も一層厳格に行う必要がありますが、会計士の中にはそういった意識が希薄な人もおり、我々ベテラン勢としてはその辺りをキチンと伝えた上で監査を実施していく必要があると思っている次第です。
なお余談ですが、分配可能額の算定上、配当制限がかけられる資産項目として、繰延税金資産が除外されています(つまり繰延税金資産は配当原資となるということです)。
この辺りも繰延税金資産の回収可能性が厳しく問われる要因の一つになっています。
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