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意外な日本基準採用企業

  • 佐藤篤
  • 2022年2月8日
  • 読了時間: 2分

決算発表関連ネタが続きます。


弊ブログに取り上げた・取り上げないに関わらず、様々な企業の決算短信を眺めているのですが、時価総額が大きく且つグローバルに展開していると思われる企業でも、意外に日本基準を採用している企業が多いなと感じました。


弊ブログで触れたファナック株式会社、信越化学工業株式会社、ANAホールディングス株式会社の他、株式会社キーエンス、レーザーテック株式会社、任天堂株式会社、株式会社資生堂が日本基準を採用しています(以下、それぞれ「ファナック社」「信越化学社」「ANA社」「キーエンス社」「レーザーテック社」「任天堂社」「資生堂社」)。


これらの会社がIFRSではなく日本基準を採用しているのは、そもそもM&Aに興味がないからではないかという仮説を立てました。

そして、その仮説を検証すべく、2022年1月から2月に発表された各社の決算短信を用いて、連結総資産残高に占める無形固定資産残高(本来ならのれん残高とすべきところですが、のれん残高を連結貸借対照表で開示している企業は少なかったので、ここでは無形固定資産残高としています)の割合を調べてみました。


結果は以下の通りでした。

  • ファナック社;0.5%

  • 信越化学社;0.3%

  • ANA社;2.9%

  • キーエンス社;0.2%

  • レーザーテック社;4.1%

  • 任天堂社;0.6%

  • 資生堂社;15.1%


1%を下回るファナック社、 信越化学社、キーエンス社、任天堂社あたりは仮説の通りと考えて良さそうです。


2.9%と比較的高いANA社は連結貸借対照表でのれん残高を開示して、連結総資産残高に占めるのれん残高の割合は 0.6%と低く、こちらも仮説の通りと言えそうです。

ただ、ANA社の場合、IFRSリースの適用を嫌って日本基準のままとしている可能性もありそうです。


4.1%のレーザーテック社は、過去の決算資料を見てみたところ、権利金の取得により無形固定資産が増加しており、のれんではなさそうでした。

こちらもM&Aには興味がなさそうと言えそうです。


15.1%と最も高かった資生堂社ですが、こちらも ANA社同様連結貸借対照表でのれん残高を開示しており、連結総資産残高に占めるのれん残高の割合は3.9%でした。

この数値は決して低いとは言えませんが、日本基準を採用している理由として考えられるのは、のれんは償却すべきと考えているという可能性で、私も個人的にはのれんは償却した方がいいと考えています。


もちろん、各社とものれんの償却・非償却だけで会計基準を選択している訳ではありませんので、一つのネタと思っていただければ幸いですが、想像した以上に仮説通りな印象でした。

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