役員報酬の現状~最近の経済ニュース~
- 佐藤篤
- 2024年8月2日
- 読了時間: 3分
先日のテレ東の朝のニュース番組(モープラFT)で、「役員報酬の現状」と題した特集が放映されていました。
いろいろと勉強になったので、メモ書きを記しておきたいと思います。
日本の役員報酬額の現状
2024年3月期に1億円以上の報酬を得た役員の数は811人、前の期に比べて89人増加、過去最多。
4〜5年前までは高額批判等を考慮して、1億円未満に役員報酬を抑えようとする傾向があった。
役員報酬額に対する考え方の変化のきっかけ
役員報酬の人的指標反映などを提言した伊藤レポート
機関投資家の意識が、企業価値向上のための報酬アップなら積極的に取り入れるべき、と変化したこと
トップ企業のCEOの報酬の中央値(2023年)
アメリカ31億円、イギリス7億円に対し日本は1億7000万円
この差の背景は、アメリカは社外取締役中心でプロの経営者を採用しているのに対し、日本は従業員の延長線上で役員になるケースが多いため
役員報酬額が低いことの問題点
人材獲得競争で不利になる(優秀な人を採用できない・優秀な人が引き抜かれる)
一般に役員の方が従業員より報酬が高いが、役員報酬が低いことで従業員の報酬を上げることが難しくなる。
クローバック制度
アメリカの証券取引所では、役員の不正会計などが発覚した際に役員報酬の返還を求めることができる制度(クローバック制度)を採用している。
業績連動型役員報酬の広がりの要因(2021年時点で日本企業の7割超が採用)
経営者にとっては業績向上に向けた「攻めの経営」の動機付けになると同時に責任感にもつながる。
業績が上向けば、従業員にとっては賞与配分のアップや賃上げも期待できる。株主にとっても配当額や株価の上昇が期待できる。
今後の日本における役員報酬のあり方
ESGや人的資本に対する成果が報酬制度に組み込まれていくと想定される。
役員再任の規定整備の必要性
日本では人材の少なさや過去の慣行から業績が悪化しても役員が解任されにくいという問題があるが、役員再任規定を設けることでクビにしやすくする。
現状日本企業では2割程度しか整備されていない。
感想
現状の日本企業でも高額報酬を得ている外国人役員がそこそこ存在しています。
上記のクローバック制度や役員再任規定がない、株式持ち合い等コーポレート・ガバナンスが緩く高額報酬議案が通りやすい、外国人経営者には高額報酬もやむを得ないと考える風潮がある等の要因があるようです。
真偽は不明ですが、某有名投資家が日本の複数の企業の株式を取得した理由の一つに、役員報酬が低いことをあげたという話を聞いたことがありますが、そのような状況も将来的には変わってしまうのかも知れません。
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