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少子化のリアル~「企業会計」2024年2月号~

  • 佐藤篤
  • 2024年2月27日
  • 読了時間: 3分

「企業会計」2024年2月号の75周年特別インタビューは「少子化のリアルを知ろう」(井上孝)でした。

「何で、会計雑誌で少子化?」と思ったのですが、読んでみたら思いのほか面白く、取り上げることにした次第です。


合計特殊出生率と人口置換水準

  • 合計特殊出生率の意味について「1人の女性が生涯で産む子供の数の平均値」と説明される場合が多い。ここで言う女性には、結婚しているかどうかを問わず日本に居住する全ての女性が含まれる。

  • 人口置換水準は、人口移動がないと仮定して、ある死亡水準の下で人口が長期的に増減せず一定となる出生水準のこと。日本の場合、合計特殊出生率が2.07以上でないと人口が維持できない。

  • 2022年の合計特殊出生率は1.26であったが、これは人口置換水準の約6割の水準しかないということになる。このことは親の世代に比べて子供の世代が40%減になるということを意味する。言い換えると、60年後にはほぼ人口が1/3になるということ。


人口置換水準2.07の根拠

  • 人口学では、1人の女性が必ず1人の女児を産んで、親が女児を産んだ時の年齢までその女児が育たないと人工を維持できないという考え方をする。

  • 世界共通、太古の昔から男児の方が5%ほど女子より多く生まれてくるため、2.05人産んでやっと女児が1人生まれるという計算になる。

  • 加えて、生まれてきた女児が、不慮の事故などで子供を産める年齢に到達する前になくなってしまうことが考えられるため、0.02を加えて合計2.07という数字が導かれている。


日本の問題点

  • 今現在の日本の高齢化率(総人口に占める65歳以上人口の割合)は約30%で、今世紀半ばに40%弱に達しピークになる。今から70年位前の1950年頃はわずか5%であり、半世紀と少しの間に世界一の高齢国になったというのは人類史上最速のペース。

  • 人口減少そのものが悪いというよりも、スピードが早い点が問題。


問題解決策

  • 高齢者の定義を変えれば良い。例えば、75歳以上を高齢者と定義すれば、高齢化率は15%程度(2021年)にまで下がる。

  • 65歳以上が高齢者という基準は、数十年も前に決められた定義であるが、その頃の65歳と現在の65歳では、健康状態や体力や働く意欲等の点で状況が全く異なる。何より平均寿命までの年数が長い。

  • 平均余命とは、例えば今現在60歳の人が今後何年平均して生き延びることができるかという数字で、この余命が等しくなる年齢を「平均余命等価年齢」といい、年齢ではなく平均余命の長さによって待遇を変えるという発想の根拠となっている。

  • 1970年の65歳の平均余命と2020年の75歳の平均余命はほぼ同じであり、1970年の65歳の人と2020年の75歳の人は等価、つまり労働力として同じ扱いでよいと言え、これが高齢者の定義を変える根拠となる。


感想

今から15年程前、ある地方の政令指定都市へ行ったのですが、その時の印象は「街中に高齢者が多いなあ」というものでした。東京に住んでいると、少子高齢化には気が付きにくいものですが、その頃から着実に高齢化は進んでいる訳です。


一方で、私が子供だった頃の60代の人は「お年寄り」という感じがしたものですが、今の60代の人は中年の延長という雰囲気で、65歳以上を高齢者と定義することの時代遅れ感は実感としてあります。


定年延長も始まりましたし、少しずつ世の中が変わってきている気がします。

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