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完全子会社の吸収合併と資本剰余金

  • 佐藤篤
  • 2021年1月5日
  • 読了時間: 2分

更新日:2021年7月8日

会計監査ジャーナル2021年1月号にちょっと間違いやすそうだなと思った連結・企業結合に係る会計処理のQ&A記事が出ていました。


以前、NTT社によるドコモ社の完全子会社化についてのエントリーを書きましたが、それに関連して、子会社持分の追加取得に伴う追加取得持分と追加投資額の差額である資本剰余金が、その後親会社が完全子会社を吸収合併した場合に親会社の個別財務諸表上引き継がれるかどうか、という論点です。


結論としては、追加取得時に発生した資本剰余金は親会社の個別財務諸表には引き継がれないということのようです。


被合併会社である完全子会社の資産及び負債については、連結財務諸表上計上されているのれんの未償却残高含め、連結財務諸表上の帳簿価額を引き継ぐとされていますが、株主資本項目については連結財務諸表上の帳簿価額を引き継ぐとは規定されていないため、追加取得によって生じた資本剰余金については親会社の個別財務諸表上引き継がれないということになります。

そして、親会社が完全子会社から受け入れた資産と負債との差額のうち株主資本の額と、親会社が合併直前に保有していた子会社株式の適正な帳簿価額との差額は抱合せ株式消滅差損益として計上されることになります。


一方、親会社による完全子会社の吸収合併の場合、共通支配下の取引として連結財務諸表上は全て消去する必要がありますので。合併の会計処理に際して親会社の個別財務諸表に引き継がなかった資本剰余金は、連結財務諸表上は計上され続けることになります。

言い換えると、親会社による完全子会社の吸収合併は連結財務諸表には何ら影響を及ぼさないため、既に計上されていた資本剰余金にも何ら影響しないということになります。


なお余談ですが、私が会計士受験生だった頃、連結子会社の追加取得持分と追加投資額の差額はのれんとして処理するものとされていました。

それが数年前にのれんから資本剰余金として処理されることになったのですが、受験生時代に詰め込んだ知識というものはなかなか置替え難く、子会社持分の追加取得を見ると反射的に投資差額はのれんと頭に思い浮かんでしまいます。


事程左様に受験時代に詰め込んだ知識は強固に頭に残っているもので、継続的な知識のアップデートは欠かせないなあ、と改めて実感させられた次第です。

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