太陽有限責任監査法人への一部業務停止命令
- 佐藤篤
- 2023年12月29日
- 読了時間: 2分
2023年12月26日に金融庁から「監査法人及び公認会計士の懲戒処分等について」が公表されておりました(リンク)。
処分対象者は太陽有限責任監査法人(と所属会計士2名)、処分の内容は3ヵ月の新規契約の締結に関する業務の停止等です。
なかなか重い処分が出たなあ、という印象ですが、金融庁のリリースを読んでみると、それも止む無しかと思わされます。
事案の概要を大まかに要約すると以下の通りです。
株式会社ディー・ディー・エスが売上の過大計上及び貸倒引当金繰入額の過少計上等の不適切会計を行った。
当該不適正な会計処理を訂正するにあたり、多くの虚偽記載(貸借対照表の当事業年度の繰越利益剰余金から前事業年度の繰越利益剰余金を差し引いた金額と損益計算書の当期純損失等が本来整合すべきであったにもかかわらず整合していなかったなど)のある連結財務諸表等を作成し、提出。
その重大な虚偽のある財務書類について、重大な虚偽のないものとして意見表明実施。
審査担当社員も財務諸表の表示の適正性を評価したかについて十分に検証しないまま本件についての対応を終了する等、十分な審査を実施せず。
これを読んで最初に頭に浮かんだ言葉は「本当に!?」でした。信じられないというのが率直な感想です。
監査した訂正書類とは異なるバージョンを株式会社ディー・ディー・エスが提出したのかとも思ったのですが、そうであれば、監査法人へこのような重い処分が下されることはないはずです。
いったい何が起こっているのか推察してみるに、太陽有限責任監査法人は、ここ10年程で中堅監査法人の中でも規模的に頭一つ抜け出した存在になり、その過程で体制整備が追いつかず、働き方改革の影響もあって、監査の水準が落ちた可能性はありそうです。
拡大路線をとる中で組織がしっちゃかめっちゃかになるのは、一般的によくあることです。
もちろん、単純に監査チームと審査担当社員が杜撰だっただけの可能性もありますが。
いずれにしても、遠からず太陽有限責任監査法人から調査報告書のようなものが出ると思いますので、それを待ちたいと思います。
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