大胆な会計不正事例~日糧製パン㈱~
- 佐藤篤
- 2023年6月27日
- 読了時間: 2分
日糧製パン株式会社(以下「日糧製パン社」)が2023年6月22日に「特別調査委員会による調査進捗状況に関するお知らせ」をリリースしておりました(リンク)。
前回のエントリーで、棚卸資産の不正リスクの高さについて触れたばかりでしたが、正にその棚卸資産による不正が行われていたようです。
当該リリースには、不正の具体的な内容と大まかな影響額について、以下の通り記載されています。
特別調査委員会による調査によれば、少なくとも一部の部門において、特定の部門長の指示のもとで、自部門の業績を良く見せるため、この現場在庫の棚卸数値を過大計上するとの不正行為がなされておりました。当該部門においては、最低でも過去2年間にわたって不正行為がなされており、2023年3月末時点で過大計上と見込まれる金額は最大で約6000万円に及ぶことが想定されます。
また、日糧製パン社では、実地棚卸について、以下の様に実施される決まりになっていたようです。
現場在庫の実地棚卸については、各現場の課長を中心として、月中、月末に2度実施するものとしておりました。実地棚卸の結果は、各現場において、所定の書式に手書きで記入して、経理部等に提出し、月次決算、年次決算に用いられておりました。
不正の具体的な方法については、以下のように説明されています。
当該部門においては、特定の部門長の指示のもとで、実地棚卸すらせず、生産管理指標の目標数値から逆算する形で棚卸数値を任意に決定し、現場在庫の棚卸数値を過大に報告・計上していたものです。
一読して、かなり大胆な不正方法だなあ、と思いました。
ある意味、こんな雑な方法で2年間も不正出来ていたことが、にわかには信じられません。
不正発生部門内の人間関係、内部監査部や経理部のチェック機能、会計監査人の立会の状況等、いろいろ興味は尽きません。
特別調査委員会の最終報告を楽しみに待ちたいと思います。
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