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同業他社を凌ぐ高PBR企業~「企業会計」2024年6月号~

  • 佐藤篤
  • 2024年7月5日
  • 読了時間: 2分

「企業会計」2024年6月号の特別企画『なぜ「PBR1倍越え」だけではダメなのか』に掲載されていた「Interview日本瓦斯の取組み」(清田慎一、松谷理代)を読んでみました。


日本瓦斯株式会社のことは、正直言って今まで知らなかったのですが、東京ガス㈱のPBRが0.82倍(7月4日終値ベース、以下同)、大阪ガス㈱のPBRが0.89倍なのに対し、3.72倍と飛びぬけて高く評価されている会社です。

そういったこともあって、興味深く読みました。


PBRに対する考え方

  • PBRを、集めた資本でどれだけ価値を生み出しているかを評価する指標と認識している。PBRが1倍を下回る場合は何もしない方が良いということ。

  • PBR=ROE×PERと表せる。ROEはこれまで資本を使って価値を生み出してきた結果を示し、PERは今後価値を生み出す期待値を示す。この両方を伸ばすことが必要だと考えている。

  • ROEを財務上の最重要KPIと認識している。


ROE向上の具体的施策

  • 貸借対照表の資産サイドの基本的なコンセプトは、儲かる資産を増やし儲からない資産を減らすこと。ここで「儲かる」というのは、対売上利益率ではなく対資産利益率が高いことを指す。

  • 直近5年で、低収益の資産を売却し、そのキャッシュでLPガスやICTといった高収益資産を増やすことで、総資産額をほぼ変えないまま資産の入れ替えを進めた。

  • 貸借対照表の資金調達サイドでは、内部留保は増資との考えのもと、適切なレバレッジを活用して、不必要な株主資本は基本的に100%株主へ還元する。

  • 2026年3月までに自己資本比率を最適化し、48%から40%にすることを掲げている。不必要になった株主資本は、自社株買いの形で株主へ還元する。


PER向上の具体的施策

  • 事業の成長とIR戦略を通じて向上させるべきものと考えている。

  • 役員は、昇進の際、銀行から多額の融資を得て追加で株式を取得することで、株主と同じ船に乗るということを強く意識させる。


企業改革の経緯

  • 2015年の株主の内、金融・事業法人等による保有割合が37%以上で、これらのほとんどが持合株式であった。また、機関投資家による保有割合は14%であった。

  • その後持合株式を徐々に縮小させ、2年前に撤廃した。現在では機関投資家による保有割合は65%程度に達している。


感想

私のように財務会計ベッタリな人間だと、内部留保を増資だと見なす発想はないので、面白い考え方だと思いました。わかりやすいですし。

また、10年前から政策保有株の解消に取り組んだり、役員昇進時に借金させて自社株を買ったりと、マネジメント層も立派だな、と思いました。

目立たないけど、こういった取組みをしている会社があるのだなあ、と感心させられた次第です。

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