内部統制報告制度の見直しの概要~「企業会計」2023年4月号~
- 佐藤篤
- 2023年4月28日
- 読了時間: 2分
「企業会計」2023年4月号の「三角波」コーナーは「内部統制報告制度の見直し」でした。
内部統制報告制度が変わるということ自体は知っていましたが、肝心の中身までは把握していませんでしたので、ザっと読んでみました。
金融庁は2022年12月に「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改定について(公開草案)」を公表した。
公表の背景
米国のcosoの内部統制の基本的枠組みに関する報告書が改定されたこと
日本企業において内部統制の評価範囲外で開示すべき重要な不備が明らかになった事実が見受けられたこと
重要な改訂のポイント
1. 内部統制の目的の一つである「財務報告の信頼性」を「報告の信頼性」に変更する。
非財務報告を内部統制の枠組みに包含することが趣旨
一方で、金商法上の内部統制報告制度はあくまで「財務報告の信頼性」の確保が目的である、とした。
2. 経営者による内部統制の評価範囲の決定について
リスクベースで行うことを徹底するために、重要な事業拠点や業務プロセスを選定する指標として例示されている「売上高等の概ね3分の2」や「売上、売掛金及び棚卸資産」の3勘定を機械的に適用すべきでないことを明確に示した。
一方でリスクベースでの対応が不十分な企業や、新たに内部統制を構築する企業等の参考にするため、上記のような指標を注記で例示する。
3. 内部統制報告書の訂正時の対応
開示すべき重要な不備が報告書提出後に識別されるケースが一定程度あることから、訂正内部統制報告書を出す場合には、不備が当初の内部統制報告書において報告されなかった理由等の開示を求める。
また、その後の内部統制報告書で、開示すべき重要な不備の是正状況の開示を求める。
中長期的課題
金商法改正を伴う抜本的な制度改正は、中長期的課題とされた。
例えば、
内部統制監査のダイレクトレポーティングの導入
金商法の内部統制制度と会社法が構築を求める内部統制の枠組みの統合
金商法の内部統制制度の非財務報告への拡張
感想
それなりに納得感のある改訂のような気がします。
特に、ダイレクトレポーティングの導入や非財務報告への拡張が見送られたのは、よかったのではないでしょうか。
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