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会計監査での生成AIの活用可能性~「企業会計」2024年7月号~

  • 佐藤篤
  • 2024年8月6日
  • 読了時間: 3分

先日のエントリーで「企業会計」2024年7月号の特集「経理の生成AI入門【導入検討編】」に掲載されていた「経理業務での生成AIの活用可能性」を取り上げました。

今回は同特集から「会計監査での生成AIの活用可能性」(宇宿哲平)を取り上げます。


最初に、当該論考の目的ですが、以下のように記載されています(以下引用)。

本稿では、有限責任あずさ監査法人(以下「あずさ監査法人」という。)における実例を踏まえて、監査法人における生成AIの活用事例および今後の活用可能性について述べる(以下略)


以下、メモ書きです。


生成AI活用の必要性

  • 会計監査業界においては、会計基準の複雑化やサステナビリティ情報の保証など会計士の役割が拡大していく中で、会計監査業務の業務負荷軽減・効率化が喫緊の課題となっており、生成AIの活用はこの課題を解決するための有望な手段の一つ。


具体的な活用例

  • チャットツールとしての活用~「AZUSA Isaac」

監査の中でよく用いられる指示文(プロンプト)のひな形が選べるようになっており、ひな形を選択した後に、それを加工して入力することで、文章の素案や翻訳案の作成の他、会計士が会社の状況から考えられるリスクを洗い出す際に視野を広げるための対話相手など多岐にわたる用途で活用されている。

  • 会計・監査分野の専門知識を踏まえた回答を行う生成AIツール~「Chat KOMEI」

会計・監査分野の基準や法人内のFAQを参照した上での回答を行うツール。大規模言語モデルを活用することで、キーワード検索だけでは見つけられないような、表現は異なるが意味的に近いものを検索することが可能。

  • 仕訳分析への大規模言語モデルの活用

大規模言語モデルを利用したチャット形式のインターフェイスを備えることで、質問をするような形でデータの特徴をあぶり出すとともに、集計・加工した結果について、大規模言語モデルが考察案を提示し、さらに次の分析ステップについての案を提示する。


生成AIを活用した監査の将来像

  • 情報セキュリティが保たれる前提で、監査法人の枠を超えた幅広い情報を活用した生成AIを作ることができる可能性もある。

  • 企業の経理の方が、監査法人に会計処理について相談していたのと同様に、企業の会計用生成AIが、監査法人の生成AIに会計処理について相談し、あるべき会計処理を検討する未来が来るかもしれない。


感想

「必要性」と「将来像」に比して、現実での活用度合いはまだまだな印象ですが、黎明期ですし、今後に期待したいところです。

「将来像」については、実現できたら面白いですし、監査工数の削減にも大きく寄与しそうです。

そこまで行けば、企業側と会計監査人側に意見の相違がない限り、人が関与するのは監査報告書へのサインだけ、ということも可能になるかも知れません。

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