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企業のリスクテイク~「企業会計」2024年3月号~

  • 佐藤篤
  • 2024年4月16日
  • 読了時間: 3分

「企業会計」2024年3月号 「ガバナンス改革で企業不祥事を防げるか?」(齋藤卓爾)を読んでみました。

上場企業の会計監査に従事している会計士であれば、面白く読める内容だと思いました。

以下は当該記事の一部のメモ書きです。


米国のケース

  • 1980年頃まで米国におけるコーポレートガバナンスの大きな問題は、経営者が株主価値の最大化を追求しない、つまり「攻めない」ことであった。

  • 当時の米国のCEOは株価を1,000ドル上昇させても、3.25ドルしか受け取れず、株主価値を最大化するインセンティブは極めて弱いという指摘があった。

  • これに対応するため爆発的に増加したのがストックオプションで、その結果としてCEOの報酬も大幅に上昇した。

(ストックオプションに起因した問題その1)株価の維持を目的とした会計不正

以下のような研究結果がある。

  • 経営者が、行使価格を株価が上回っているストックオプションを多く持つ企業ほど会計不正が起きやすい。

  • ストックオプションは、賞与やその他の株式報酬と比べて、会計不正を誘発しやすい。

  • 企業が株高に繋がる良いニュースを発表する前にストックオプションが付与されている傾向がある。

  • 約3割の企業で、ストックオプションの付与日をより低い行使価格になるように遡って設定する不正操作が行われている。

(ストックオプションに起因した問題その2)株主が求める以上の過剰なリスクテイク

  • ストックオプションは、株価が行使価格以下になった場合は権利を行使しないだけで損をすることはないため、経営者にリスクを取る強いインセンティブを与える。


日本のコーポレートガバナンスの問題点

  • 経営者が、リストラやM&Aといった企業価値に資するがリスクを伴うような困難な行動を実行しようとしないこと。

  • 競争や株主の監視が弱い状況に置かれている経営者は、ただ平穏を望み、事なかれ主義に走ると考えられる。

  • 日本において、持合い株が多い企業などにおいては、設備投資やR&Dが少ない傾向があることを示した研究がある。


日本のコーポレートガバナンス改革

  • いかにして経営者に成長につながるリスクの伴う行動をさせるのかが焦点となり、社外取締役や機関投資家による規律づけを強めることによりこれを実現しようとした。

  • 安倍政権下でのコーポレートガバナンス改革の効果を検証した結果、社外取締役の増加、機関投資家のエンゲージメント体制の強化、アクティビストファンドの再活性化などのガバナンスメカニズムの変化があった一方で、期待されたリスクテイクの促進効果は見られなかった。


日本の大企業の不祥事

  • これまでは、試験における改ざんなど事業の現場レベルでの不正が多かった。

  • 近年、多くの企業において経営者報酬が大きく増えると同時に、株式関連報酬などのインセンティブ給の比率が高まっており、自らの報酬を増やすための不正を行うインセンティブが芽生えている可能性がある。


感想

最初はいろいろ感想を書いていたのですが、考えがまとまらず支離滅裂になっていたので、全カットしてしまいました。

後日、追記するかも知れません。




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