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中部電力㈱の2022年3月期連結売上高見込からみえてくる本人と代理人の区分のインパクトと検針日基準からの変更

  • 佐藤篤
  • 2021年5月19日
  • 読了時間: 2分

故あって中部電力株式会社の2021年3月期決算短信を眺めていたのですが、2022年3月期の連結売上高見込額が2021年3月期比△19.6%となっていました。説明には収益認識に関する会計基準の適用によるものとの説明があるのですが、検針日基準からの変更で売上高が2割弱も減少するなんていくらなんでも減り方が大きすぎるのではないかと思い、詳しく決算短信を読んでみたところ、再生可能エネルギー固定買取制度に係る費用収益を純額処理に変更するためとの説明でした。いわゆる本人か代理人かの区分による影響のようです。

なんだかんだ言って収益認識会計基準の適用で、利益は別として、売上高へ一番大きなインパクトを与えるのがこの本人か代理人かの区分の論点のような気がします。


だからというわけでは無いと思いますが、会計監査ジャーナル2021年5月号でもこの本人と代理人の区分についての記事が掲載されていました。本人と代理人の区分の判断基準やそれぞれの場合の会計処理の説明は当然なされていましたが、そういった内容にはここでは触れません。


当該記事の中で、本人と代理人を区分する際の注意点として、以下の内容に触れられていました。

企業が財に対する法的所有権を顧客に移転する前に獲得したとしても、当該法的所有権が瞬時に顧客に移転される場合には、企業は必ずしも当該財を支配していることにはならない(収益認識適用指針第45項)という点です。

物品販売の場合、在庫に係るリスクを負担するか否かで本人か代理人かが決せられるケースが多いと思いますが、在庫リスク移転の判断材料として法的所有権の移転は大きなファクターです。しかし形式的に法的所有権が移転したとしても実質的に在庫に係るリスクを負っていない場合は、代理人として処理されることになります。

形式と実質による判断の違いという会計における典型的な考え方がここにも現れています。


と、ここまで書いてきて、そういえば検針日基準からの変更による影響ってどの程度なのだろうとの疑問が湧いてきました。中部電力㈱の決算短信にはその点の記載は(多分)なかったので、恐らくほとんど影響ないのだろうと想像しますが、その割には決算作業に係る工数は増えてしまうので、業界内部の方々はとんだとばっちりと思っていることでしょう。


電力業界は検針日基準の変更といい本人と代理人の区分といい、収益認識会計基準の適用で一番影響受ける業界の一つかも知れません。

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