レビュー完了前に第1四半期決算短信を開示している事例~ニデック㈱~
- 佐藤篤
- 2024年7月26日
- 読了時間: 2分
ニデック株式会社(以下「ニデック社」)が2024年7月23日に2025年3月期第1四半期決算短信を発表しておりました。
ニデック社は今年の5月に連結子会社による不適切会計に起因して過年度の決算訂正を行っており、そのため2025年3月期第1四半期決算短信は監査法人のレビューが義務付けられています。
実際、JPXの期中レビューの義務付け要件該当会社一覧(2024年7月1日時点)(リンク)にも記載されています。
ここで、JPXで公表している「決算短信・四半期決算短信作成要領等」(2024年4月)(以下「作成要領」)をみてみると、〔第1・第3四半期決算短信の開示時期について〕で以下の様に規定しています。
上場会社は、決算の内容が定まったときに、その内容を直ちに開示することが義務付けられておりますが(以下略)
そして、上記の「決算の内容が定まったとき」については、作成要領で以下のように規定しています。
(レビューを義務で受ける場合)
信頼性確保の観点から公認会計士等によるレビューが義務付けられている趣旨に鑑み、レビューが完了次第、第1・第3四半期決算短信を開示することを原則とします。
以上より、監査法人のレビューが義務付けられている会社の第1(・第3)四半期決算短信の開示はレビュー完了後が原則となりますが、それにしてはニデック社の開示は早過ぎる気がします。
そこで実際にニデック社の決算短信をみてみました。
まず、サマリー情報の監査法人のレビューの有無について、

「無」となっています。
作成要領では、
施行規則第405条第2項に該当する場合には、レビューが義務付けられます。この場合には、「有(義務)」としてください。
と規定されていて、いきなり面喰いました。
この点、「その他の特記事項」に以下のような説明が記載されています。

レビュー未了でも先行開示できる合理的理由があれば、それも可能ということのようです。
実際、作成要領にも以下のように規定されています。
レビューを受ける場合で、レビューが完了する前に開示を行う場合は、「無」としてください。また、レビュー完了後にレビュー報告書を添付した四半期決算短信を開示する予定である旨及びその開示予定日を、「その他特記事項」において記載してください。
7月23日に発表した決算短信は制度改正前の決算短信的位置付けである一方、8月9日に改めて発表する予定の決算短信は制度改正前の四半期報告書的位置付けであると言えそうです。
一つ勉強になった開示例でありました。
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