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リース会計基準改正に伴って今後起こり得る実務上の展開

  • 佐藤篤
  • 2024年2月23日
  • 読了時間: 2分

「会計・監査ジャーナル」2024年2月号の連載アカデミック・フォーサイトは「リース取引オンバランス研究の行方」(菱山淳)でした。


当記事の目的として、以下のように記されています(以下引用)。

本稿では、開示規制の当初から現行基準に至るまでの借手に対するリース規制の内容を明らかにするとともに、そのもとで行われてきたリース会計研究を振り返っている。くわえて、新たなリース会計基準のもとで検討されるべき研究課題にはどのようなものがあるか検討している。


この中から、欧米に於けるリース会計新基準(IFRS16、ASCTopic842)適用に伴う企業行動の変化に関する研究結果と、日本のリース取引実務で今後起こり得る実務上の展開をピックアップしたいと思います。



IFRS16を適用した場合の欧州企業に及ぼす影響の事前推計調査

  • オンバランスの必要のない短期リースへの切り替え可能性

  • そのことによるリース料増加の可能性

  • リースをやめて購入するインセンティブが増加する可能性


ドイツに本社があるIFRS適用企業に対する、IFRS16適用の影響に関するアンケート調査の結果(2021年)

  • リースの他の資金調達手段に比べたメリットは減少するものの、リース行動を変えたり、オンバランスを回避すると明確に回答した企業は少数であった。


売上高が1億ドルを超える米国企業を対象に、ASCTopic842の適用の前後4年間の財務データの比較によって、新基準の影響を調査した結果

  • 借手の長期のオペレーティング・リース取引が減少し、オンバランスの必要のない短期のリース利用が増加した。

  • 固定資産への投資が増加した。借入金利がリースの計算利子率より低いことに起因する。



今後起こり得る実務上の展開

  • リースとサービスが複合する契約の際に契約をリースと識別されないように組成する。

  • 会計基準の対象とならない短期リースや少額リースの利用の増加。

  • リースとサービスが複合する契約の際に、サービスへの配分金額を多くするように契約を構築する。

  • 合理的に確実とみなされない期間オプションを利用してリース期間を短く設定する。

  • リース料の支払義務に反映されない変動リース料を契約へ組み込むことなどにより、測定の面でオンバランスを回避する。



感想

新リース基準は適用初年度の網羅性、即ち使用権資産と対応する債務を漏れなくオンバランスさせることが最大のポイントになると思われますが、当該記事を読んで、監査する側として、些か憂鬱な気分になりました。

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