ビッグ4が監査市場を(ほぼ)独占している要因~「会計・監査ジャーナル」2024年11月号~
- 佐藤篤
- 2024年11月12日
- 読了時間: 2分
「会計・監査ジャーナル」2024年11月号の特集は「実証研究のフロンティア」(Douglas Skinner、高田知美)でした。
内容的には高田先生によるSkinner先生へのインタビューになっていて、予想情報の開示とオーストラリアにおける監査市場の構造の2つがテーマになっています。
その中から、オーストラリアにおける監査市場の構造の部分を取り上げます。
問題意識
監査市場は、世界中のほぼ全ての国でビッグ4に集中化されているが、それは何故なのか。
オーストラリア市場に焦点を当てた理由
ビッグNと呼ばれる監査事務所がオーストラリアで台頭するようになる前の、1960年代初頭からのデータが入手できるため(他国ではそのようなデータが揃っていない)。
分析結果の概要
結論としては、ビッグ4と呼ばれる4つの事務所の寡占には経済的合理性がある。
その重要な理由の一つは、クライアント企業である上場企業が、多くの場合、非常に大規模であり、世界的に事業を展開している監査事務所が必要となること。
極めて大規模な上場企業は極めて複雑な企業でもあり、監査業務には多くの専門性が必要となるが、そのような専門性を小規模な監査事務所が取得することは非常に困難。
現在、監査業務においてもAIの重要性は高まっているが、AIの導入を実際に成功させるには多額の投資を行う必要があり、この点でも大規模な監査事務所が有利。
つまりは、企業側の要因が大きいと考えられる。
ビッグ4やグローバル・ネットワークというのはどういうものなのか、ブランド・バリューなのか?
ビッグ4の市場は競争的でないと考える人もいるが、これらの事務所は激しく競争していて、且つ監査品質の提供において非常に優れていると考えている。
にもかかわらず、監査報酬が比較的低く保たれているのは、クライアントからのプレッシャーのためであると考えている。
感想
掲載誌が掲載誌なので、このような内容になるのも仕方ない気もしますが、特段目新しい内容もなく、あまり面白いとは思えませんでした。
ただ、グローバル大企業を中小事務所で監査するのはかなり厳しいというのは、その通りだと思います。
ところで、高田先生は聞き手に徹しておられるのですが、「なるほど」と受けている箇所が複数あり、個人的にはそれが印象的でした。
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