NTTによるドコモの完全子会社化
- 佐藤篤
- 2020年9月29日
- 読了時間: 2分
更新日:2021年7月8日
2020年9月29日、NTT社がドコモ社の株式をTOBで取得し、完全子会社化するとのニュースがありました。
NTT社としてはもともとドコモ社の完全子会社化を検討していたところ、菅総理による携帯料金値下げ要求と、ドコモ口座を利用した不正出金問題のあおりでドコモ社の株価が下落したのを好機と見て実行に踏み切るのだろう、と推測されます。
買収規模としては4兆円程度になるとのことです。
以下、ブルームバーグの記事の引用です。
NTTは現在ドコモ株の66.21%を保有。残りの約34%を28日のドコモの株価終値2,775円に30%のプレミアムを上乗せした金額で取得すると、買収規模は約4兆円となる。(引用終わり)
最初このニュースを見た時、直感的にのれん償却額だけで毎期すごい負担になりそうだなあと思ったのですが、そもそもNTT社は国際会計基準でのれん償却はありませんし、それ以前の話として、子会社株式の追加取得は資本剰余金の増減となりますので、のれんが計上されることもなさそうです。
NTT社の連結決算上の会計処理としては、ドコモ社分の非支配株主持分が減少し、当該金額と追加取得額4兆円の差額が資本剰余金の減少(増加になるとは想定していません)となるといった感じでしょうか(間違っているようでしたらご指摘いただけると幸いです)。
それと、NTT社はTOB資金4兆円を全額借入金で賄うようですが、いくら大企業とはいえ、財務状況の悪化が懸念されます。
この点、2021年3月期の第1四半期連結貸借対照表を見てみますと、負債総額11兆円、資本額11兆円、負債資本合計額23兆円です。ここで負債総額が4兆円増加したとしても、そもそも負債総額、資本額とも巨額なので、著しい財務状況の悪化とは言えなさそうですが、NTT社の株価は5%程下落しているようです。
携帯キャリア各社の株価については個人的にいろいろ言いたいことがあるのですが、個人的な恥さらしになるので、ここでは止めておこうと思います…
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