トランプ大統領の政策が会計・監査業界へ及ぼす影響~「企業会計」2025年3月号~
- 佐藤篤
- 4月4日
- 読了時間: 2分
トランプ大統領関連の話題で賑やかな今日この頃ですが、「企業会計」2025年3月号のインタビューは「杉本徳栄先生にきく トランプ2.0の政策による会計への影響」でした。
トランプさんの影響が会計に及ぶとは考えてもいなかったので、興味深く拝読しました。
米国の現状の権力体制
立法権は連邦議会が、行政権は大統領が持っているが、大統領は各行政府省庁長官などの高級官職の人事権を全て「大統領の政治任用」という形で掌握している
大統領が直接任命するポストはだいたい4,000とも言われ、そのうちの約1,200余りは連邦議会の上院の承認を得ないとその官職に就任できないが、トリプルレッドの状況であれば、人事もスムーズに進む
司法権については、現在、最高裁判所の判事9名は保守派6名対リベラル派3名の構成となっており、全ての権力を共和党が事実上掌握しているとも言える状況である
SEC(証券取引委員会)
新委員長にポール・アトキンス氏を指名した
アトキンス氏は、前任のゲイリー・ゲンスラー氏と異なり、仮想通貨規制には反対の立場
PCAOB(公開企業会計監視委員会)
アトキンス氏は、SECコミッショナーを務めていた時(2002年8月〜2008年8月)に、予算に関して非常にネガティブな姿勢を示していたことから、PCAOBの予算が縮小される可能性がある
政権交代のたびにPCAOB議長は解任されてきた経緯があり、監査業界への規制のあり方が変わる可能性がある
これまで、PCAOBをSECに組み込んだ方が良いという議論も見られたことから、新SEC委員長のもとでPCAOBをSECに組み込む方針が示される可能性もある
アトキンス氏の志向
SECコミッショナー時代に、以下の案に対して反対票を投じた
株主が取締役選出に直接関与できる規制案
ヘッジファンドのSECへの登録義務付け規制案
投資信託の取締役会で社外の独立した人材を起用するよう義務付ける規制案
企業に多額の制裁金を課すことは株主に不当な損失をもたらすとして異議を唱えたことでも知られる
感想
日本への影響は図りかねますが、米国の会計・監査業界は規制緩和の方向に進みそうです。
会計士の立場としては、もし企業への制裁金減額が実現すれば、以前より会計不正が起きやすくなりそうで、多少の不安を覚えます。
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