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サステナビリティ情報等への保証~会計監査ジャーナル2019年11月号~

  • 佐藤篤
  • 2021年10月5日
  • 読了時間: 3分

当ブログのネタ探しを兼ねて会計監査ジャーナル電子版の過去号を見返していたのですが、2019年11月号の「最新実務相談Q&A」という連載に「公認会計士による保証業務の拡がり」(以下「当該記事」)という記事がありましたので読んでみました。


以下、当該記事の概要です。


現状日本で行われている監査以外の保証業務の具体例

  • 金融機関からの依頼により行う任意の年度または期中財務諸表のレビュー業務

  • 受託会社での統制活動のデザインの保証業務

  • 事業体による借入約款又は法令などの遵守に係る保証業務

海外で行われている監査以外の保証業務

  • サステナビリティ情報を中心としてISAE3000等を適用した実務が実施されている。

日本でのサステナビリティ情報等への保証業務の対応状況

  • 研究報告第63号「サステナビリティ報告書等における保証報告書の海外事例調査~ISAS3000準拠の保証業務の検討~」が2018年7月3日に公表されている。

日本で今一つサステナビリティ情報等非財務情報への保証業務が拡がっていない理由(研究報告第63号より)

  • 主題・主題情報が、業種業態または会社ごとに様々である。

  • 財務報告では、財務諸表の各項目が貨幣価値で測定・評価されるのに対し、サステナビリティ報告書等ではそれぞれの主題情報によって測定・評価の基礎が異なる。

  • サステナビリティ情報のクライテリア(規準)が、必ずしも一律ではない。

  • サステナビリティ報告書は、主にマルチ・ステークホルダー・アプローチを採用しており、開示される重要課題(マテリアリティ)の特定が必要となる。

我々公認会計士にとって非財務情報、特にサステナビリティ情報等への保証業務の提供は新たなビジネスチャンスであることは明白なのですが、それにもかかわらずあまり広がっていないのは、一言で言えば水平展開が難しいという分析です。

逆の見方をすれば、一旦保証業務契約を締結し保証報告書を提出してしまえば、非保証企業側は簡単には保証業務を行う公認会計士や監査法人を交代させるのが難しくなるとも言え、安定的な収入が見込めそうです。


一方で、サステナビリティ情報等への第三者保証は法令で義務化されておらず、わざわざ第三者の保証を得ようとする誘因がないという事実があります。そのため当面サステナビリティ情報等への保証業務の市場規模は拡大しないと予想されます。


これを拡大させるには、ISO認証のような方法が一つ考えられます。

非営利でサステナビリティ情報の最低レベルの基準を作成し、ESGと関連させることで営業取引や資本調達コスト、ひいては株価に影響させることができるようになれば、サステナビリティ情報等への保証業務はそれなりの市場規模になると思われます。

EUが熱心なのも最終的にはこれが狙いなのだろうな、と想像します。


何だかとりとめのない話になりましたが、上場企業にとっては新たなコスト増加要因になることは間違いなさそうです。


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