サイボウズ㈱のインフレ手当
- 佐藤篤
- 2022年7月15日
- 読了時間: 2分
以前、ある知人が決算賞与の支給を当てにして引越しを進めていたところ、その決算賞与の支給自体がなくなり、思わぬ支出になってしまったとぼやいていたことがありました。
本来賞与は業績が良かった時にそれに報いるため支給されるものであり、支給が確約されている性質のものではないはずです。
ところが日本の企業では、賞与は給与の後払い的性質が強く、業績が振るわなくても賞与が支給されるという従業員の期待が根強く存在します。
そのため、いざ賞与が支給されなかった場合、従業員に期待ギャップが発生し、士気の低下や最悪退職者の増加を招きかねません。
どうしてこんなことをつらつら書いているかと言うと、2022年7月13日にサイボウズ株式会社(以下「サイボウズ社」)がインフレ手当を従業員に支給するというリリース(以下「当該リリース」)を出して話題になっていたからです。
以下、当該リリースからの引用です。
支給の目的
多くの国や地域で物価高が急激に進んでいることから、日本およびグローバル拠点の、サイボウズと直接雇用契約を結ぶ社員(無期・有期雇用ともに)に対し、7〜8月間に特別一時金の形で支給
支給時期
7〜8月間に1回(給与支給のタイミングにより、各拠点で決定)
当該リリースとは別に、noteで今回のインフレ手当支給の舞台裏を解説されています。
以下、当該解説からの引用です。
国が行う社会保障とは違い、今回の目的は「急激なインフレによる生活の不安が軽減し、業務に集中できる」ことのため、(中略)対象者も支給日に在籍していて、支給日以降に業務をするメンバーとしています。
常にアップダウンが激しく、年2回の給与改定を基本として行なっている拠点もあり、その拠点については今回の急激なインフレ手当の対象外としています。
今後も継続的にインフレ特別手当を支給するの?答えは「NO」です。
感想
今回のサイボウズ社のインフレ手当のポイントは、
給与の後払いではないため退職者と退職予定者は支給対象外
在籍者でも支給対象外となる地域もある
一回限りの支給である
点にあると思います。
賃金の下方硬直性や冒頭で述べたような日本における賞与の位置づけ、さらには人件費の継続的上昇に対する株主の疑念に配慮して基本給のアップや賞与という名称での支給を回避しつつ、従業員の生活にも配慮することで人材の流出を避けることができる、上手い支給方法だと思いました。
サイボウズ社はこのような独自の施策をいろいろ実行されている面白い会社です。noteによる情報発信もされているようですし、今後もフォローしていきたいと思っております。
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