アイドル・キャパシティへの対応~㈱AOKIホールディングス~「企業会計」2024年6月号~
- 佐藤篤
- 2024年7月12日
- 読了時間: 2分
株式会社AOKIホールディングス(以下「AOKI社」)という会社があります。
「スーツのAOKI」の他、事業としてブライダルやインターネットカフェも営んでいて、以前から面白い会社だなと思っていました。
そのAOKI社で過去に働いておられた方が「企業会計」2024年6月号の連載「実務に役立つ研究所」に「理論は経営の処方箋」(東 英和)と題された論考を寄せておられましたので、読んでみました。
AOKI社に於ける事業ごとの繁閑期
ファッション事業(スーツなどのビジネスウェアが主力)
新入学・新入社準備による2月後半から3月に大きなピークがある。一方、クールビズ等の浸透により売上高の繁閑差が過去より大きくなっている。
エンターテイメント事業(複合カフェやカラオケ店の展開)
7月から8月に学生の夏休み期間での利用が増え、同時にビジネスマンの避暑需要もあり繁忙期となる。
ブライダル事業(結婚式場の運営)
9月から10月に挙式のピークがある一方、8月や年末・年始は閑散期になる。
アイドル・キャパシティ(キャパシティと実際の稼働率の差)の活用と解消
繁閑差の異なる事業を組み合わせることで、グループ全体の売上・収益の変動リスクを抑えることができていた。
一方、外部環境の変化による繁閑差の拡大とコロナ禍の影響によって、コスト・コントロールによる利益確保が課題となった。
閑散期に当たる事業から繁忙期を迎えている事業へ人材を融通し、アイドルを解消していくという試みを行った。
エンターテイメント事業の社員がファッション販売の知識や技能を習得するための教育や、逆にファッションやブライダルの社員がエンターテインメントのオペレーションの教育を受ける対応を実施し、多能工化を図った。
その結果として、上半期に利益の出しにくいファッション事業が急激に黒字化した。
感想
AOKI社がなぜブライダルやインターネットカフェも営んでいるのかよくわかっていませんでしたが、至って合理的な理由があった訳です。
それはそうと、アイドル・キャパシティに係るコスト、所謂操業度差異については、ビジネス上の永遠の課題で、人から機械への置換が進むようで進まない要因です。
身も蓋もない話ですが、人の方が配転やリストラ等調整しやすいという現実があります。
そう考えれば、人が直ちにAIに置き換えられるという心配は、当面はないと思っています。
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