「法人税等調整額の計上に関するお知らせ」の中身
- 佐藤篤
- 2022年2月15日
- 読了時間: 2分
決算発表シーズンも終盤となり、先日も様々な企業の決算短信を眺めておりました。
その中で、株式会社ユーグレナ(以下「ユーグレナ社」)の「法人税等調整額(益)の計上に関するお知らせ」(以下「当該リリース」)というリリースを偶然見つけました。2月10日の決算発表に合わせて発出されたようです。
内容は、連結子会社を取得した際に計上した時価評価対象資産に係る繰延税金負債の取り崩しと記載されているのみで、詳しい中身には触れられていません。
そこで、内容を確認すべくユーグレナ社の2021年12月期の決算短信を見てみました。
探し物(?)のヒントは決算短信 2ページ目の経営成績の説明で直ぐに見つかりました。
説明によると、新規連結時に棚卸資産を正味売却価額で評価し含み益67億円を計上していたが、その内48億円を売却したとのことでした。
利益サイドの法人税等調整額が計上されたのは、当該売却分にかかる繰延税金負債が取り崩されたことによるものと推定されます。当該リリースによれば、法人税等調整額計上額は14億円とのことで、計算上も間違いなさそうです。
この棚卸資産の売却によりユーグレナ社連結の繰延税金負債残高は大分減ったのかと思いきや、2021年12月末でまだ63億円ほど残っています。
その内、まだ売却されていない棚卸資産相当分は約7億円と推定されるので、翌期以降にまた利益サイドの法人税等調整額が計上されることになりそうです。
余談ですが、私が公認会計士2次試験の受験勉強をしていた頃、簿記での連結の設問上、時価評価対象資産はほとんど土地に限定されていたので、当該リリースをみた時は、反射的に不動産を売却したのだと思ってしまいました。
20年以上前の詰め込みがまだ残っていることを自覚して、思わず苦笑してしまった次第です。
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