「リースに関する会計基準(案)」のセール・アンド・リースバックの取扱い~「会計・監査ジャーナル」2023年8月号~
- 佐藤篤
- 2023年9月5日
- 読了時間: 2分
前回の弊ブログで、リースに関する会計基準(案)の中で企業側への配慮が感じられる規定としてサブリースを取り上げましたが、同様の趣旨で、今回はセール・アンド・リースバック取引を取り上げます。
今回も「会計・監査ジャーナル」2023年8月号に掲載されている特集『企業会計基準公開草案第73号「リースに関する会計基準(案)」等の概要』からのメモ書きです。
以下、企業会計基準適用指針公開草案第73号「リースに関する会計基準の適用指針(案)」を「本適用指針案」と言います。
セール・アンド・リースバック取引に該当しない場合
建設工事請負契約と一括借上契約が同時に締結される取引などにおいて、収益が一定の期間にわたり認識される場合、セール・アンド・リースバック取引の定めが適用されるか否かについて論点になり得るとの意見があった。
この点について、IFRS第16号では明確にされていない。
売手である借手による資産の譲渡が次のいずれかである取引については、セール・アンド・リースバック取引として取り扱わないことを提案(本適用指針案第50項)。
収益認識会計基準に従い一定の期間にわたり充足される履行義務(収益認識会計基準第36項)の充足によって行われる場合
企業会計基準適用指針第35号「収益認識に関する会計基準の適用指針」第95項を適用し工事契約における収益を完全に履行義務を充足した時点で認識することを選択する場合
セール・アンド・リースバック取引に該当する場合
※原則的会計処理(本適用指針案第51項(1))は省略
売手である借手による資産の譲渡が収益認識会計基準などの他の会計基準等により、一時点で損益を認識する売却に該当すると判断される場合、売手である借手は、当該資産の譲渡について収益認識会計基準などの他の会計基準等に従い当該損益を認識し、リースバックについて本公開草案に従い借手の会計処理を行うことを提案(本適用指針案第52項)。
IFRS第16号においては、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」により収益が認識されると判断される場合、買手である貸手に移転された権利部分については権利の譲渡にかかる利得又は損失を譲渡時に認識し、リースバックにより売手である借手が継続して保持する権利部分については権利の譲渡に係る利得又は損失を繰り延べることとされており、本公開草案においては、IFRS第16号の定めとは異なる定めを置くことを提案している。
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