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「アクセスする権利」と「使用する権利」の区分

  • 佐藤篤
  • 2021年11月5日
  • 読了時間: 3分

普段テレビを視ることはないのですが、テレビ東京のモーニングサテライトだけ視たいなと思い、2~3ヶ月前にテレ東bizに入会しました。

そのテレビ東京の持株会社である株式会社テレビ東京ホールディングスが2022年3月期の第2四半期決算を発表しておりました。


そういえばテレビビジネスの財務諸表って見たことないなと思い、決算短信を眺めていたところ、会計方針の変更注記に収益認識に関する会計基準の適用の影響が結構なボリュームで記載されておりました。

変更点は三点で、一つは代理人と本人の区分に係る変更、一つは共同事業に係る収益を出資比率に応じた額で認識する方法への変更、もう一つはライセンス供与に係る収益の認識の変更です。


この三つ目のライセンス供与関連の変更については、以下のように注記されています。


ライツ事業におけるライセンスの供与に係る収益について、従来は、一部の取引において権利期間にわたって合理的な基準に基づき収益を認識する方法等によっておりましたが、ライセンスを顧客に供与する際の約束の性質が、ライセンスが供与される時点で知的財産を使用する権利である場合は、一時点で収益を認識する方法に変更しました。(引用終わり)


収益認識に関する会計基準の適用指針(以下「収適指針」)によれば、ライセンスの供与が知的財産に「アクセスする権利」の場合は一定の期間で売上を計上し、知的財産を「使用する権利」の場合には一時点で売上を計上します(収適指針62項)。


「アクセスする権利」と「使用する権利」の区分については、以下の三つの要件全てを満たす場合には知的財産に「アクセスする権利」に該当し(収適指針63項)、一つでも該当しない場合には「使用する権利」に該当することになります(収適指針64項)。

  1. ライセンスにより顧客が権利を有している知的財産に著しく影響を与える活動を企業が行うことが、契約により定められているまたは顧客により合理的に期待されていること

  2. 顧客が権利を有している知的財産に著しく影響を与える企業の活動により、顧客が直接に影響を受けること

  3. 顧客が権利を有している知的財産に著しく影響を与える企業の活動の結果として、企業の活動が生じたとしても、財又はサービスが顧客に移転しないこと

この三要件、そのまま読むと何だか分かりづらいですが、簡単に言うと、「アクセスする権利」の場合、提供する企業側が絶えず形態や機能、品質等を変化させる活動を行っているのに対し、「使用する権利」の場合はライセンスが供与された時点でその後の変化がないという点が異なります。


テレビビジネスのライセンス共用の場合、パソコンのOSのように定期的にセキュリティパッチが来たり、機能改善プログラムが提供されたりといった性質のものではなく、既に存在する番組コンテンツ等の使用権を供与するという内容のものが大半だと想像されますので、「アクセスする権利」ではなく「使用する権利」として会計処理方法を変更したのだろうと思われます。


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