IFRS第18号に関するIASB理事の見解~「会計・監査ジャーナル」2024年10月号~
- 佐藤篤
- 2024年10月8日
- 読了時間: 3分
弊ブログでは、最近IFRS第18号について取り上げています。
今回は同じくIFRS第18号に関連して、「会計・監査ジャーナル」2024年10月号に掲載されていた「国際会計基準審議会(IASB)ニック・アンダーソン理事・鈴木理加理事に訊くーIFRS第18号財務諸表における表示及び開示についてー」を読んでみました。
以下、当該記事の一部メモ書きです(どちらの理事のご回答であるかは省略しています)。
IFRS第18号による新たな要求事項により期待される効果
損益計算書の一貫した構造を定めることによって、企業によって損益計算書の内容及び構想が異なり、財務業績の比較が困難である点に対処することができる。
営業、投資、財務のそれぞれの区分の中に何が入っているかが明確になり、さらに小計も新たに設けることにより全体像が見えるようになる。
将来に向けて重要なこととして、デジタル報告において、報告実務のばらつきが減少し、タグ付けのばらつきも減少するといった効果が予想される。
MPMについて、現状は、企業が自ら作った指標がバラバラの場所に置かれていて、投資家としてはどこにあるのかが分かりづらい状況にあるが、今後は、MPMの定義に合致するものであれば、単一の注記の場所にまとまることになる。
MPMについては、正しいプロセスで使用されているかどうかという点が投資家にとって重要であり、監査対象になることでその点が確保され、透明性が向上する。
MPMの監査
監査人は、マネジメントが企業の財務指標を投資家に伝える数字として、公に使っているという事実を監査することになる。
Non-GAAPで作られているものが正しいか正しくないかということではなく、どういう計算に基づいているのか、損益計算書の小計とどのように繋がっているのかという点について企業が開示する情報を監査することになる。
マネジメントのコミュニケーションや、それに関する情報を準備する内部統制は監査対象となる。それ以外の情報も事実の確認を監査するということになる。
現在の監査人の監査技術をもって監査できる内容になるように、基準の文言には留意した。
IFRS第18号の適用開始時期
当初は2026年1月1日以降に開始する事業年度からの適用を検討していたが、各所からの参考情報を受けて2027年1月1日以後に開始する事業年度からとなった。
少し先の話という印象を持つかもしれないが、そういったことは全くなく、今すぐ対応をスタートして欲しい。
感想
IFRSベースの財務諸表で個人的に不満だったのは他社比較がし辛い点だったのですが、 IFRS第18号の適用によって状況は少し良くなりそうです。
MPMについては、監査対象とすることが重要だったとのことですが、そこから想定される今後の展開として、企業経営者はMPMの定義から外れるNon-GAAP指標を自らの報酬算定の基準とする流れが生じるのではないかと予想します。
そういう意味でも、上記の通り、企業経営者は早めに IFRS第18号への対応検討をスタートすべきなのだろうと思います(笑)
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