IFRS第18号における為替差損益とデリバティブ損益~「企業会計」2024年9月号~
- 佐藤篤
- 2024年9月27日
- 読了時間: 2分
「企業会計」2024年9月号はIFRS第18号の特集でした。
その中の「損益計算書の区分と小計の構造」(藤原由紀)と題された論考で、為替差損益とデリバティブ損益を取り上げていました。
この両者についてはIFRS第18号に別途ガイダンスが存在し、留意が必要ですので、今回取り上げます。
前提
IFRS第18号は、PLに3つの区分、すなわち、営業区分、投資区分、財務区分を導入した。
営業区分は、他の区分に分類されない全ての収益および費用を含む、と定義されている。
為替差損益
過大なコストまたは労力を要する場合を除き、それを生じさせる元となった取引の収益および費用と同じ区分に含めることとされている。
例えば、外貨建営業債権から生じた為替差損益は営業区分に、外貨建借入金から生じた為替差損益は財務区分に、といった具合。
デリバティブ損益
企業がデリバティブをリスク管理目的で保有している場合、ヘッジ会計を適用しているか否かにかかわらず、原則として管理されているリスクが含まれるのと同じ区分にデリバティブ損益を含める。
デリバティブをリスク管理目的で保有していない場合、当該デリバティブが資金の調達のみを含む取引に関連している場合はデリバティブ損益を財務区分に含め、それ以外の場合には営業区分に含める。
いずれの場合もデリバティブ損益が総額表示されることとなる場合や、区分の決定に過度のコストまたは労力を要する場合、デリバティブ損益を営業区分に含めることとされている。
感想
最初読んだ際には「ちょっと面倒だな」と思ったのですが、よく考えると、現状でもキャッシュ・フロー計算書の作成に際して、為替差損益を営業、投資、財務の区分別に把握する実務は行われているので、新たな手間が増えるということにはならなそうです。
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