ASBJの方々が答える新リース会計基準Q&A~「企業会計」2024年12月号~
- 佐藤篤
- 2024年12月24日
- 読了時間: 3分
「企業会計」2024年12月号の「インタビュー ASBJにきく 新リース会計基準Q&A」(川安喜、紙谷孝雄、村瀬進吾)を読んでみました。
基準がリリースされると、どうしても細かい点に目が行きがちになりますが、それより少し大きい視点で新基準を捉えるのにいい内容でした。
そんな訳で、メモ書きの一部をシェアしたいと思います。
IFRS16号との関係
IFRS16号と企業会計基準第34号リースに関する会計基準等(以下「新リース会計基準等」)は基本的には同じという理解で良いが、差異として最も大きいのはセール・アンド・リースバック取引に関する取扱いである。この点についてはIFRS任意適用企業であっても個別財務諸表には新リース会計基準等の定めを適用することになる。
用語については、従前のリース会計基準の考え方を持ち越した部分もあるので、全く同じというわけではない。
貸手による知的財産のライセンスの供与について
リース会計基準第3項(2)ただし書きでは、知的財産のライセンスの供与(貸手)について企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」(以下「リース会計基準」)を適用できるとしているが、企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」(以下「収益認識会計基準」)との関係性は?
貸手による知的財産のライセンスの供与については、原則として収益認識会計基準によると整理している。
ただし、リース会社のように製造または販売以外を事業とする貸手はリース会計基準を適用することもできるというように整理している。
リースの識別
従来、サービスの要素とリースの要素が複合している取引については、もっぱらサービスの要素に着目した会計処理、すなわち一般的には費用処理をすることが多かったと思われる。
新リース会計基準等では、契約がリースを含むか否かを判断することが求められ、リースの要素が含まれている場合には、リースの要素とサービスの要素を分離して、リースの要素の部分についてはリースの会計処理をすることを定めている点が特徴的である。
企業会計基準適用指針第33号「リースに関する会計基準の適用指針」(以下「リース適用指針」)の設例1にフローチャートがあるので、それをもとに個々の実態に応じて判定してもらうことになる。
リースの要素とサービスの要素の両方を含む場合に、IFRS第16号と同様にリースに寄せて取り扱うことを認める選択肢も取り入れている。
会計方針の記載
企業会計基準第24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」では、重要な会計方針を注記することが定められており、リースの利用の程度によって各企業で判断することになる。
一方、リース適用指針第97項(1)~(3)で3つのケースについて会計方針に関する情報を注記することを定めている。
連単一致
個別財務諸表と連結財務諸表の会計処理は原則として同一であるべきというのがASBJの基本的な考え方および方針である。退職給付会計は、あくまでも例外として定めたもの。
実務で適用する際の留意点
新リース会計基準等は主要な会計基準の1つであるので、収益認識会計基準と同様に「別途の対応」を定めている。これは会計基準を適用する上で困難さがある時には、ASBJにおいて公開の場で審議・検討する仕組みのこと。
感想
一読した印象では、やはり「リースの識別」がかなり厄介そうです。
加えて、個別財務諸表にも例外なく適用される点がインパクトを大きくしています。
会計士としては、特に「会計への意識が低い会社」に対して、早目にアラートを出しておいた方がよさそうだと感じました。
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