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ANAホールディングス㈱の決算とポイントの会計処理~2022年3月期第3四半期決算~

  • 佐藤篤
  • 2022年2月4日
  • 読了時間: 2分

ANAホールディングス株式会社(以下「ANA社」)が2月1日に2022年3月期第3四半期決算を発表しました。


ANA社の決算については以前に当ブログで記事にしています(リンク)。

その時は繰延税金資産残高が利益剰余金残高を上回っていたことを取り上げましたが、2022年3月期第3四半期では、とうとう利益剰余金残高がマイナスになってしまっています。

10月~12月の3か月は黒字だったとのことですが、現在進行中の第4四半期はオミクロン株の流行で旅客需要は落ち込む可能性がありますし、円安と原油高が重なりコストアップにもなっているはずで、早期に利益剰余金のマイナスを解消するのは厳しいだろうと想像します。


その赤字をどうファイナンスしているのだろうと思い、連結貸借対照表を眺めていたのですが、その事とは無関係に、流動負債に契約負債が2,459億円計上されていることに気が付きました。

会計方針変更の注記によれば、内容はマイレージポイントと発売未決済(前受)とのことです。

マイレージポイントについて、従来は営業費用と営業未払金で処理していたのを、収益認識会計基準の適用に伴い、売上高からマイナスの上、契約負債に計上する会計処理方法へ変更しています。

このマイレージポイントの会計処理方法変更のため、期首の段階で利益剰余金が1,146億円減少しており、これが無ければ、当第3四半期の利益剰余金は▲723億円なので、プラスを保てていたことになります。

何ともタイミングが悪かったとしか言いようがありません。


余談ですが、このマイレージ等のポイントに係る税務上の取扱については、法人税法は、収益認識会計基準の適用に合わせて、要件を満たせば負債計上可能なように改正されたのですが、消費税法の方は改正されなかったため、課税売上の金額は従来通りポイント分を控除しない金額となります。

何ともややこしい話です。

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